高江ヘリパッド 完成2ヵ所を先行提供 月内にも


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【東・国頭】東村と国頭村にまたがる米軍北部訓練場の一部返還に伴うヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設計画で、沖縄防衛局は、計画の遅れにより当初想定されていた新設着陸帯全6カ所完成後の米側への提供を変更し、既に完成した着陸帯2カ所を先行して米側に提供する考えを明らかにした。

8日、本紙の質問に回答した。返還前に米側へ着陸帯が提供されることで、新設の着陸帯と返還予定地の既存着陸帯が併用されることになり、周辺住民への負担増が確実視される。
 着陸帯の事業計画では、1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で、北部訓練場の返還される区域から残余部分に移設するとしており、6着陸帯が東村高江集落を取り囲むように建設される。米側への提供時期などは明記されていない。
 建設は2007年7月に着手。6着陸帯のうち高江集落に最も近いN4地区にある着陸帯N4-1が13年2月、N4-2がことし7月28日に完成した。関係者によると、日米合同委員会を経て早ければ今月中にも米側に提供される見通し。
 防衛局は、提供日程についての質問に「当初は着陸帯移設工事の全てを完了させる計画だった」と回答。「しかしながら、さまざまな事情により今日に至っており、完成した着陸帯は米側との調整後、できるだけ早期に提供される」として、計画の遅れなどから返還を待たずに新設した着陸帯を提供する意向を示した。
 訓練場の返還前に新設の着陸帯が米側に提供されれば、既存の着陸帯も継続して使用される可能性がある。実際、3月17日には提供前のN4-1で、米軍MH60ヘリコプターが着陸していた。移設計画に反対する住民らは「負担が増えるだけだ」と指摘している。
 防衛局は返還計画について「計画されている全ての着陸帯工事を速やかに完了させることに全力を尽くす」とした。(仲村良太)

工事が完了し、近く米軍に提供予定のヘリコプター着陸帯=7月16日、東村高江
ヘリコプター着陸帯の移設予定地