米総領事「対話できぬ」 県、名護に国防協力要求


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アルフレッド・マグルビー在沖米国総領事

 アルフレッド・マグルビー在沖米総領事が12日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する署名を渡しに訪れた関係者に対し「沖縄で(基地の)反対運動する人たちはゼロか100かで、意味ある生産的な対話ができない」と発言していたことが分かった。さらに「県や名護市は国防に協力すべきだ」と述べ、辺野古移設を含む米軍再編を支援すべきだとの考えを示していた。

署名を手渡したピースフィロソフィーセンター代表の乗松聡子氏が明らかにした。
 日米両政府が1996年に合意した米軍普天間飛行場の返還は県内移設が条件になっており、県民の反対運動などでいまだ移設実現の見通しは立っていない。マグルビー氏の発言は膠着(こうちゃく)状態が長引いている現状に対し、抗議活動を展開してきた市民や移設に反対する名護市へのいら立ちを示したものだとみられる。
 在沖米総領事は取材に対し「オフレコの場での話し合いについてはコメントしない」としている。
 乗松氏らは1月、辺野古移設計画に反対する世界的に著名な文化人・有識者らによる声明を発表。声明に賛同した1万5千人の署名を12日、マグルビー総領事に手渡した。マグルビー氏の発言は、12日に沖縄国際大で開催されたシンポジウムで乗松氏が報告した。
 シンポジウムの後、乗松氏は本紙にマグルビー氏とのやり取りの一部始終を説明。マグルビー氏の「沖縄の人とは意義ある対話ができない」との発言に対し、乗松氏が「沖縄の人たちは全ての基地を明日撤去しろと言ってるわけではない。普天間基地の閉鎖をまず求めているだけで、ゼロか100かとは言えない。そのわずかな要求すら通っていないのが現状だ」と反論したという。乗松氏によると、マグルビー氏は「オスプレイは過度に悪者扱いされている」「沖縄の2紙は基地の悪い部分ばかり報道していい面は報道しない」などと指摘した。面会は午前9時45分から1時間ほど行われたという。
 マグルビー氏は2012年8月に在沖米総領事に就任。就任会見で普天間飛行場について「飛行場の周りに住む者はある程度危険があると思うが、特に危険だという認識はない」と発言し、県民の反発を集めた。