【交差点】スマトラ余震の恐怖


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 地震がない安全な国、シンガポール。シンガポールでは地震プレートから遠いため、地震が起きないといわれている。戦争や災害が少ない国には自然とビジネスチャンスが生まれるものであり、目立たないが、シンガポールが世界のビジネス、観光都市として成長している大きな理由の一つである。
 そのシンガポールをスマトラ島で発生したM6・6の地震の余震が襲った。揺れといっても「揺れているような、いないような」というレベルであったが、私自身、シンガポール滞在12年目で初めて体験した揺れであった。
 「日本は地震があるんだよね。本当に地面が揺れるの? 怖いねー」。シンガポール人によく言われることである。シンガポール人の中にはこの揺れを初めての体験で喜んでいる人もいたが、本当に怖い話である。ビジネス街の高層ビルでは多くのビルで一時避難が行われパニック状態に。シンガポールで本当の地震が起きたら一体どうなるのだろうと大変心配になった。自分や家族への危険もさることながら、現在、順調に規模を拡大しているビジネスへの影響も計り知れない。
 私が新規ビジネスの決定をする場合にいくつかのチェックリストがある。天候に左右されない、開発業者がしっかりしているなどだが、地震の危険は入っていなかった。何事も100%はない。忘れられたリスクにこそ、敏感にならなければならないと実感させられる出来事だった。
 (遠山光一郎、シンガポール現地法人社長)