県内労災3割増 人手不足の建設業深刻


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 ことし1~7月に県内事業所で発生した労働災害が前年同期から約3割増加していることが沖縄労働局の調査で分かった。特に建設業で増加が目立ち、人手不足となっている型枠工や鉄筋工など「建設躯体(くたい)工事」の専門職などで増えている。

公共工事増や景気の回復傾向で需要が増える中、人手不足の悪化が労災増につながる悪循環に陥っているようだ。
 県内では1~7月で労働災害で3人が死亡し、昨年1年間の2人を上回った。事態の深刻化を受けて沖縄労働局は20日、業界団体などに災害防止対策の徹底を要請した。建設業に特化した要請は初めて。
 労働局によると、1~7月に4日以上休業した負傷者を含めた死傷者数は前年同期に比べ23人増の97人。そのうち32人が建設駆体工事の専門職だった。駆体工の有効求人倍率は昨年6月は0・85倍だったが、ことし6月は2・45倍に急上昇しており、人手不足が災害増に影響しているとみられる。
 労働局の夏井智毅健康安全課長は「人手不足で1人当たりの仕事量が増え、安全対策が課題となっている。経験の浅い労働者に対し、工事の技術だけでなく、安全についても手厚い対策が必要だ」と指摘した。
 労働局は20日、建設業労働災害防止協会や8建設業団体に対し、労働基準監督署との合同パトロールなどの取り組み強化を求めた。県や沖縄総合事務局には工事発注者として安全確保へ協力するよう要請した。
 一方、県は「クレーンや足場からの転落事故などの報告を受けている。各土木事務所に注意喚起したい」と話した。