国保交付金、是正で123億増 県内11市が試算


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
2012年度の赤字額と、前期高齢者加入率が全国平均と同率だった場合の試算(クリックで拡大)

 沖縄戦の影響で全国と比べて前期高齢者(65~74歳)の割合が低いため県内市町村の国民健康保険財政が悪化している問題で、沖縄が全国並みの前期高齢者割合だった場合、県内11市だけで交付金が約123億円増えることが県都市国保研究協議会の試算で分かった。

11市の2012年度国保赤字額計約74億円や同年度の県内全市町村収支の赤字額約98億円を大幅に上回る額になる。26日、仲井真弘多知事や県市長会長の翁長雄志那覇市長など県内6団体の代表ら約30人が菅義偉官房長官と田村憲久厚生労働相に面会し、是正措置を要請する。
 試算額は、県内11市の国保担当課長で構成する県都市国保研究協議会が各市の12年度の被保険者数と前期高齢者給付費額、後期高齢者支援金額に変更がないものとして、前期高齢者の加入率のみを変えて算出した。前期高齢者加入率は全国平均が32・9%に対し、沖縄は17・5%と全国で最も低い。2番目に低い東京の27・8%と比べても大きく下回っている。
 県都市国保研究協議会の担当者は「前期高齢者加入率が高くなれば、前期高齢者交付金算出のための他の数字も変わってくるため、一概にこの数字通りの金額になるとはいえない」と説明した。その上で「交付金算出式の中で前期高齢者加入率が占めるウエートは大きく、全国並みの加入率なら各市町村の赤字を圧縮する分の交付金が交付されていた可能性は高い」と指摘した。
 県都市国保研究協議会が人口動態などを基に調査し、国保財政の悪化と沖縄戦との関連を指摘していた。沖縄戦の影響で全国と比べて前期高齢者(65~74歳)の割合が低いために、その世代の加入割合で算出される前期高齢者交付金が他府県と比べ著しく低く交付されている。県市長会と町村会、市議会議長会、町村議会議長会、国民健康保険団体連合会の5団体は7~8月の間に、国に要請することを相次いで決議していた。(当銘寿夫)