元県漁連会長「漁場埋め立てないで」 辺野古で抗議


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名護市辺野古を訪れ「大浦湾を埋め立てれば東海岸の漁場全てに影響を及ぼす」と埋め立てに反対する元県漁連会長の西銘仁正さん=27日、名護市辺野古

 「辺野古、大浦湾は東海岸で残された最後の好漁場だ。埋め立てを黙って見ていては、沖縄の水産業は生き残れない」。普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古沖の埋め立て工事に対し、自らを「魚屋の番頭」と呼ぶ元県漁業協同組合連合会会長の西銘仁正さん(66)=伊平屋村=が27日、辺野古を訪れ反対の声を上げた。

 もともと漁業者ではないが、伊平屋村漁協の設立に関わった縁から、32歳で初代組合長に就任し漁協の経営に携わってきた。「不労所得の補助金では豊かになれない。漁業者の自立こそ豊かさにつながる」との信念の下、手掛けてきた養殖モズクは伊平屋村を代表する特産品に育った。
 2002年から08年まで県信用漁業協同組合連合会の会長を務め、03年から06年までは県漁連の会長も兼務した。県漁連会長に在任中、金武町のキャンプ・ハンセンの都市型訓練場建設に伴う赤土流出問題、米軍戦闘機F15のうるま市伊計島北東訓練空域での墜落など、米軍関連の問題で水産業が脅かされる事態が相次いだ。「沖縄の海も空も陸も米軍がわが物顔で使っていて、国もそれを認めている。思想や信条ではなく、まともに考えれば誰だっておかしいと思う」
 事故への抗議や訓練中止を求めて何度も那覇防衛施設局(当時)や外務省沖縄事務所に出向いたが、状況は改善されなかった。「戦闘を想定して訓練する米軍と、穏やかな暮らしを求める民間人は立場も優先事項も百八十度違う。共存できない存在だ」と痛感した。
 05年の春、現場の生の声を聞こうと名護市の汀間漁港を訪れた。大浦湾の恵みを糧に子どもを育て上げたと胸を張る漁業者の話を聞き、海を失ってはいけないという思いをさらに強くした。
 現場の漁師には基地建設に反対する人もいると考えている。「しがらみがあって、声を出せない人も多くいる。しかし、口をつぐんでしまえば将来に禍根を残す。子どもや孫に負の遺産を残さないためにも、声を上げることが大事だ」と、漁業者からも反対の声が上がることを期待した。(沖田有吾)
英文へ→Former Fishery Cooperative President: “Don’t reclaim Henoko”