海外有識者、沖縄の抵抗を評価 辺野古反対に共感


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 【ワシントン=島袋良太本紙特派員】琉球新報と沖縄テレビ放送の世論調査で米軍普天間飛行場の辺野古移設作業に反対する意見が80%に達したことについて、移設中止を求める行動を展開してきた海外の有識者はこの数字に県民の反対の根強さを確信し、さらなる支援を誓っている。

 今月来県し、マグルビー在沖米総領事に辺野古移設に反対する1万5千人の署名を提出したジョセフ・ガーソン氏(アメリカフレンズ奉任委員会)。面談中、反対運動に参加する人々について総領事が「理性に欠ける」と表現したことを振り返り「理性的な人とは、日米政府に従い、巨大な基地負担とその有害さを受け入れる者だと言外に言うようなものだ」と批判した。
 ガーソン氏は日米両政府が名護市の民意を無視して移設を進めていることに触れながら、一方で米国が民主主義の実現と植民地主義からの解放を求め、英国から独立したことを指摘した。その上で県民も同じ理念を抱き非暴力の反対運動を続けていると位置付けた上で「理性に欠けているのは誰か。私は米国の独立を宣言した人々を『理性に欠ける』と評価する声を聞いたことはない」と皮肉った。世論調査の数字について「沖縄の人々は米国の建国を支えた人々よりも強く結束していることを知り、勇気付けられた」と述べた。
 同じく署名運動を牽引(けんいん)してきたオーストラリア国立大名誉教授(日本近現代史)のガバン・マコーマック氏は「美しく貴重な大浦湾で繰り返される安倍政権の蛮行が毎日伝わり、悲しくてたまらない。海の生き物や沖縄の友人の嘆きや悲鳴が海を越え伝わってくる」と日米政府の強硬姿勢を批判した。
 一方、世論調査の結果に触れ「差別感を持って沖縄の意思を踏みにじる不当な仕打ちにめげず、根強く抵抗する沖縄の強靱(きょうじん)さに驚かされ、励まされている」と歓迎した。
 「大浦湾の自然破壊や基地だけが問題なのではなく、日本の民主主義が危機に瀕(ひん)している。独裁政権的なごり押しをはねのける沖縄の闘いに、民主主義に意味はないと感じていた無数の声なき人々が励まされている」と沖縄の取り組みを評価した。

キャンプ・シュワブのゲート前の集会に参加するジョセフ・ガーソン氏=13日午後、名護市辺野古
移設予定地の海域を船で視察するガバン・マコーマックオーストラリア国立大学名誉教授=7月2日、名護市辺野古