辺野古に軍港機能付与 日本政府、09年把握


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ウィキリークスが公開した米大使館発公電。高見沢防政局長が代替基地建設の妥当性を示す説明を米側に求め、赤線の部分に高速輸送船やオスプレイ配備の記述がある

 日米両政府が名護市辺野古に建設を計画する米軍普天間飛行場の代替基地に軍港機能が付与されると指摘されている件で、日本政府が遅くとも2009年には、新たな基地に米軍の高速輸送船が配備される計画を把握していたことが分かった。

日本政府は垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの県内配備についても、米政府からの正式な通告である「接受国通報」を12年6月に受けるまで「未定」と説明してきたが、同じく09年段階で把握していた。内部告発サイト「ウィキリークス」が公表した米公電に示されている。
 ウィキリークスが公開した09年10月15日付の在日米大使館発の公電によると、同月12日にキャンベル米国務次官補(当時)らと日本の外務、防衛両省幹部が普天間問題をめぐり会談した。
 公電は防衛省の高見沢将林防衛政策局長(同)が米側に対し、辺野古の新基地建設の「妥当性」を米政府が説明する際は「(在日米軍再編を合意した)06年以降の米軍の能力や戦争計画に関する変更を反映すべきだ」と勧めたと記録しており、例として「高速輸送船やMV22の配備」を挙げたとしている。
 この会談に出席していた当時防衛政務官の長島昭久衆院議員は本紙の取材に「高見沢氏の発言は記憶にない。あったとも、なかったとも言えない」と述べた上で「当時オスプレイの導入は基本路線となっていた。政府内で『早く公表すべきだ』と進言していた」と明かし、「高見沢氏の発言は当時の状況からすると特に違和感はない」と指摘した。
 日米両政府は代替基地建設は普天間移設に伴う沖縄の負担軽減が目的だと説明しているが、現在の普天間にはない軍港機能の付加などを背景に、在沖米海兵隊の実質的な機能強化が専門家らから指摘されている。ただ日本政府は「軍港機能を持たせる考えは全くない」と説明している。
 ワーク米国防副長官はことし8月に訪問先のグアムで講演した際、高速輸送船をグアムに配備するとした上で「ほかにも複数を太平洋に配備する。新たな機能を持つことで活動の幅が大きく広がる」と強調している。(島袋良太、池田哲平)