漢那氏に感謝状 美ら島財団、尚育王の書寄贈で


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尚育王の書を寄贈した漢那肇氏(左)に感謝状を手渡す沖縄美ら海財団の花城良廣理事長=11日、鎌倉市

 【神奈川】第18代琉球国王・尚育の書を沖縄美ら島財団に寄贈した漢那肇さん(73)への感謝状贈呈式が11日、神奈川県鎌倉市の漢那さん宅であり、同財団の花城良廣理事長から漢那さんに感謝状が贈られた。

書は尚育王の孫に当たる漢那(旧姓・尚)まさ子さんが継承し、その孫の肇さんが保管していた。琉球国王直筆の書は戦災などで10点も残っていないとされ、同財団は国宝級とみている。
 漢那さんは「鎌倉で埋もれるより、沖縄の人に見てもらい役立ててほしいと思った。祖母に書を残した祖父の気持ちが少しでも伝えられたら良いと思う」と話した。式には尚家を継ぐ尚厚氏らも同席した。
 書はまさ子さんが、裕仁皇太子(後の昭和天皇)のお召艦香取の艦長を務めた漢那憲和氏と結婚する際、継承したとみられる。1977年にまさ子さんが85歳で亡くなった後、肇さんが所有していた。憲和氏の所蔵品には戦後、伊勢湾台風や鎌倉の台風で被災した物もあったが、尚育の書は保存状態も良い。
 書は書家としても知られる尚育が唐の詩人・宗之問の漢詩を書いたもので、尚育の書には珍しく行書を崩した書体だという。美ら島財団で修復が始まっており、来年度にも公開される。