牧港補給地区一部施設移転 「生活成り立つのか」耕作者懸念


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 【沖縄】沖縄防衛局が12日、米軍牧港補給地区(浦添市)の一部施設を嘉手納弾薬庫知花地区へ移す基本計画を沖縄市に説明した。移設先には約50ヘクタールの黙認耕作地があり、数百人の耕作者が生計を立てているとされる。対象とされる耕作者からは「今後の生活が心配だ」「補償がないなら応じられない」などと不安や窮状を訴える声が上がる。移設に伴う地元関係者の懸念は拭えそうにない。

 知花地区内で黙認耕作地を耕してきた知花朝彦さん(56)=沖縄市=は「6年前に母親から受け継ぎ、機具もそろえてきた。今後の耕作も計画しており、立ち退きには応じられない」と批判する。その上で具体的な立ち退き時期などを明確に示さない沖縄防衛局の姿勢に対し「都合の悪い情報は出さないという姿勢は許されない。しっかりと地主たちの声を聞くべきだ」と訴えた。
 「生活が成り立つのか不安だ。今後の収穫など、どうやって計画すればいいのか」。沖縄市大工廻の嘉手納弾薬庫地区内で果物などを30年以上にわたって耕作してきた70代男性は肩を落とす。「高齢でもあり、生活の糧を失うのは厳しい。立ち退くにしてもきちんとした補償をお願いしたい」と話した。