八商工死闘、興南下す 県秋季高校野球第7日


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八重山商工―興南 延長12回興南2死二塁、中堅・宮良雄太の好返球で二塁走者の生還を阻止し喜ぶ八重山商工のエース具志堅忠憲(中央)=20日、沖縄セルラースタジアム那覇(大城周子撮影)

 第64回県高校野球秋季大会第7日は20日、沖縄セルラースタジアム那覇などで2回戦の残り8試合を行い、16強が出そろった。八重山商工は延長十四回の末に興南に3―2でサヨナラ勝ちし、中部商は美里との投手戦を1―0の延長十回サヨナラで制した。

宜野座は4―3で久米島に逆転勝ちし、第3シードの前原は5―4で浦添に競り勝った。このほか、第2シードの嘉手納、コザ、美里工、浦添商が3回戦へ駒を進めた。第8日は21日、同スタジアムなどで3回戦4試合を行う。

◆八商工 延長十四回、流れ渡さず
 ミスを帳消しにするには絶好の場面が巡ってきた。延長十四回1死二塁、八重山商工の打席には宮良雄太。「チャンスはここしかない、と思い切り振った」と内角低めの直球を左前へ。左翼手が打球をそらして結果的にサヨナラ打となり、3時間27分の死闘に終止符を打った。
 接戦の展開で中堅手・宮良のミスは大きかった。六回の守備で2死一、二塁から飛球を後逸して相手に追加点を与えた。「負けたら自分のせいだ。何とか返したい」という執念が、勝利をたぐりよせた。宮良に限らずこの日チームは計5失策を記録。ただし、点を取られた回の裏できっちり返し、流れは手放さなかった。
 主将の真玉橋樹は「内野がミスしたら投手が踏ん張って、投手が打たれたら野手でカバーしようと言っていた。エラーに動揺することはなかった」と、してやったりの表情。その言葉通りエースの具志堅忠憲は窮地にも表情一つ変えず、2試合連続完投で応えた。
 スパルタの印象が強い伊志嶺吉盛監督も現チームにはあまり口出ししないという。「怒り疲れたから」と軽口を飛ばしたが、ナインへの信頼の裏返しだろう。3回戦の相手は、今夏の県大会でコールド負けを喫した嘉手納。代替わりしたとはいえ、期するものはある。具志堅は「成長したところを見せたい」と闘志を新たにした。(大城周子)

◆2度のリード守り切れず 興南、エラーに泣く
 興南は2度のリードを守りきれなかった。六回、延長十四回といずれの失点もエラーが絡んだ。我喜屋優監督は「いい投手との対戦では命取りのミスだった」。
 引き締まった試合で、どちらに流れが傾いてもおかしくはなかった。2番手でマウンドに上がった1年生左腕の比屋根雅也も11奪三振の粘投を見せた。指揮官は「いい形で来てはいる。あとは試合慣れ。メンバーをしっかり固めて頑張ります」と前を向いた。

<きのうの結果>
▽2回戦
嘉手納 6―3 美来工科
八重山商工 3―2 興南
(延長十四回)
コザ 3―1 宜野湾
美里工 10―0 豊見城南
(五回コールド)
前原 5―4 浦添
中部商 1―0 美里
(延長十回)
宜野座 4―3 久米島
浦添商 7―0 南部工
(七回コールド)

<きょうの試合>
▽3回戦
【セルスタ】10時
八重山―糸満
首里―北中城
【しんきん】10時
宮古総実―名護
那覇―具志川