知事選 「高江を公約に」 住民、工事中止訴え


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 【東】「高江」を公約に盛り込んで―。集落を取り囲んで6カ所のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設計画が進む東村高江の住民が11月16日投開票の県知事選立候補予定者らに向けて声を上げている。

座り込み現場は国の特別天然記念物ノグチゲラの鳴き声が響くやんばるの森だ。住民らは「政治の力でヘリパッド建設を止めてほしい」と訴え、立候補予定者に高江問題についての自身の立場を明確にするよう求めている。
 高江で工事が始まったのは2007年7月。建設に反対する「ヘリパッドいらない住民の会」は「高江に負担が集中する」などとして中止を求め、ゲート前で座り込みを続けてきた。
 高江で暮らす石原理絵(50)さんは9月、知事選で大きな争点となっている米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古への新基地建設問題と同様に「高江」も公約に盛り込んでもらおうと、立候補予定者に直談判したこともある。
 「辺野古の海を守ることと高江の森を守ることは一緒だと思う」と強調する石原さん。「座り込みはもう限界。政治で解決してもらうしかない」と願っている。
 ヘリパッドはことし7月までに住宅地に近い「N4地区」2カ所が完成し、近く米軍に提供される見通し。「N1地区」2カ所も着工間際だ。
 2012年10月からは普天間に配備されたオスプレイが訓練を開始している。「ヘリパッドができるかもしれない」と住民の不安も増している。
 N4に近い自宅でカフェを営む安次嶺雪音さん(43)は現在でも住宅上空を米軍ヘリ、オスプレイが飛び交う騒音などに悩まされている。ヘリパッドが米軍に提供されればさらなる負担増が予想される。「訓練が増えれば住めなくなる。公約に盛り込むことって、そんなに難しいことなの」と疑問視した。
 一方、高江の問題を取り巻く環境は変化の兆しを見せている。住民の会メンバーの伊佐真次さん(52)が9月、東村議選に3度目の挑戦で初当選した。国に訴えられながら、ヘリパッド反対を地道に訴えた伊佐さんは「知事選では辺野古と高江はセットとして臨んでほしい」と立候補予定者らに求めた。(仲村良太)

ヘリパッド建設予定地N1ゲート前で「高江を公約に」と訴える(左から)石原理絵さん、安次嶺雪音さん=2日、東村高江