米ジュゴン訴訟で米国防総省が請求却下の申し立て


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 国の特別天然記念物ジュゴンの保護を求める米ジュゴン訴訟の原告が、名護市辺野古への米海兵隊普天間飛行場移設に反対し、サンフランシスコ連邦地裁に追加請求していた新基地建設差し止めに対し、米国防総省が請求却下の申し立てをしたことが3日、分かった。

米国防総省は9月30日(現地時間9月29日)、同地裁に書面を提出した。12月には連邦地裁で口頭弁論が開かれる予定だ。
 米国防総省は請求却下を求める理由として、辺野古新基地建設は日米の政治問題であり、米国の憲法の下で国防や外交を扱う権限を持たない裁判所の関与はなじまないと説明している。
 同時に、米国防総省が4月に連邦地裁に提出した「ジュゴンへの影響はない」と結論した報告書が、米国国家歴史保存法(NHPAの核心部分)手続きを履行していないとして、原告が法の順守を求めていた件については「ジュゴンへの影響を考慮する手続きは終わっている」と述べるにとどめた。
 沖縄で行った調査などの手続きの非公開性を問われた件では、日米外交への悪影響を懸念したためであるとの旨を説明した。
 ジュゴン訴訟原告は8月1日(現地時間7月31日)、米軍キャンプ・シュワブの管理権を持つ国防総省に対し、沖縄防衛局が新基地建設を進める工事関連車両などの基地内立ち入り許可を出さないよう求め、NHPA順守を求める追加請求を連邦地裁に申し立てていた。
(石井恭子)