キングス、守り勝つ TKbjリーグ第6戦


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 プロバスケットボールTKbjリーグの琉球ゴールデンキングスは19日、那覇市民体育館で島根スサノオマジックと今季第6戦を行い、62―52で勝利、連勝を4に伸ばした。

第1クオーター(Q)からキブエ・トリムがインサイドで存在感を示し、攻守でチームを引っ張った。アンソニー・マクヘンリーも力強いプレーで島根を圧倒した。しかし第1戦と同様に得点面で課題を露呈し、ボールがことごとくリングにはじかれた。持ち味の堅守は健在で、島根の攻撃をしのいで31―18で前半を折り返した。後半もキングスは得点を伸ばしきれず、勢いを増した島根に一時は3点差まで詰め寄られた。それでもトリムがインサイドで粘って得点を重ねて逃げ切った。キングスは25、26の両日、京都府の向日市民体育館で京都ハンナリーズと2連戦を行う。

琉球ゴールデンキングス(5勝1敗)
62―52(16―11,15―7,15―14,16―20)
島根スサノオマジック(6敗)

 【評】両チームともに攻め手を欠いたロースコアの試合で、キングスがわずかに島根を上回った。第1Qから両チームが主導権を握れず、簡単なシュートを何度も外した。キングスは守備で粘りを見せても得点が伸びずに苦しんだ。島根は第4Qに勢いに乗ったが、勝負どころでシュートを決められなかった。(平安太一)

◆内容は散々だった
 伊佐勉HC(キングス)の話 シュートの確率が上がらずに内容は散々だった。ただ、勝たなければいけない試合で勝ち星がついたのは大きかった。チームとして崩れなかったことも今後に生きてくる。うちの選手は能力が高いので、きっかけがあればいいシュートを打てるはずだ。

◆課題残し、勝利も反省
 勝利という一つの結果を残した。しかし、評価できる試合内容ではなかった。3点弾は岸本隆一の決めた1本だけ。2点シュートは半分以上を落とし、フリースローの成功率は島根の90・9%に対してキングスは57・7%だった。「お客さんをワクワク、ドキドキさせることができなかった」。試合を終えた山内盛久に笑顔はなく、反省の言葉を口にした。
 勢いのある並里成と山内を先発に起用し、第1Qから主導権を握ることを狙った。「スタートからチームを勢いづけようと思った」と語る山内が粘っこく守ると、並里は司令塔としてゲームを組み立てた。伊佐勉ヘッドコーチ(HC)は「並里と山内に助けられた」と2人をたたえた。トリムは第1戦に続いて好調で「ハッスルしてプレーできた」と振り返る。
 第1Qの早い段階からリードを保ったが、その後は島根を引き離せなかった。好守備でいい流れをつくり、果敢にリングにアタックしても点を奪えず、第4Qは一時3点差まで迫られた。
 次戦は開幕から6連勝の強敵・京都が相手だ。山内は「自分たちに勢いをつけられるような試合にしたい」と強調。課題を修正して、強敵の撃破を誓った。(平安太一)

◆ホームで山城の引退セレモニー/惜しまれコートに別れ
 キングス一筋でプロ生活を歩んだ男が、コートに別れを告げた。「友人や家族、ブースターのおかげでここまで来た。本当にありがとう」。山城吉超は涙を拭い、別れを惜しむ仲間やファンに感謝の気持ちを伝えた。
 試合後に行われた引退セレモニー。中学・高校時代はライバルとして、キングスでは戦友として苦楽を共にした金城茂之は「一緒に引退すると思っていた」と寂しそうな表情を見せた。それでも「吉超が決めたことだから受け入れる。じいさんになったら一緒にバスケをやろう」と語り掛けた。伊佐勉HCは「吉超にずっと助けられた。男として尊敬している」と声を詰まらせた。
 山城は「これからはコートの外からキングスを応援する。みんなで一緒にキングスを盛り上げたい」と言い、ユニホームを脱いでもチームを支えることを約束した。

キングス―島根 第4クオーター、力強くシュートを決めるキブエ・トリム=19日、那覇市民体育館(山城博明撮影)
多くの仲間やファンの歓声に包まれながらコートを後にする山城吉超