任期満了に伴う第12回県知事選が30日告示され、届け出順に無所属新人で元郵政民営化担当相の下地幹郎氏(53)、無所属新人で元参院議員の喜納昌吉氏(66)、無所属新人で前那覇市長の翁長雄志氏(64)、無所属現職の仲井真弘多氏(75)=自民推薦=が立候補した。
最大の争点である米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題で、4氏は政策の違いを鮮明にしている。県民の審判が移設計画の行方を大きく左右することになり、激しい選挙戦が展開されそうだ。11月16日に投開票される。
各候補は30日午前、届け出後の第一声を上げて選挙戦をスタートさせた。カジノ誘致などでも主張が異なり、経済振興や教育・子育て、医療・福祉などで活発な論戦が展開されそうだ。
県内では自民党と公明党の保守・中道路線による県政運営が4期16年続いてきたが、今回は保守勢力が分裂。県政与党の公明は自主投票を決め、保革が対決してきた従来選挙とは異なる構図となっている。
移設問題では下地氏が県民投票による決着を主張、喜納氏は埋め立て承認の取り消しや撤回を訴える。翁長氏は辺野古移設反対を強調し、県外、国外移設を求めている。仲井真氏は普天間の5年以内の運用停止を訴え、辺野古移設計画推進の立場だ。政府は選挙結果にかかわらず辺野古移設を推進するとしているが、県民の選択が計画の進捗(しんちょく)に大きく影響するとみられる。
下地氏は那覇市泉崎での出陣式で「県民が辺野古に賛成か反対かを投票し、国に従ってもらう。反対なら別プランを作り、賛成なら堂々と進めよう」と訴えた。
喜納氏は南城市久高島での出発式で「辺野古の埋め立て承認を取り消すことを断言する。沖縄に必要ない基地は、世界のどこにも必要ない」と主張した。
翁長氏は那覇市壺川での出陣式で「普天間は国外、県外移設だ。辺野古の新基地はあらゆる手段を尽くして造らせない」と述べ、県内移設反対を強調した。
仲井真氏は那覇市牧志での出陣式で「世界一危険な空港を移設し、終わらせないといけない。首相が確約した5年以内の運用停止に全力を尽くす」と訴えた。
◆県民投票で移設に決着/下地氏
普天間飛行場の辺野古移設問題を県民投票で終わらせたい。今の政治状況は混乱している。自民党の国会議員は県外移設を掲げたのに県内へ変わった。移設の賛否で政治家を選んでも解決しない。県民が主役となり、県民の旗を決めて安倍首相に従ってもらう。私には大きな夢がある。10年以内に鉄軌道を造る。ユニバーサルスタジオ、ボールテーマパークを整備して沖縄を元気づけたい。子どもの貧困を解消するため、教育費の無料化を実現する。50代の知事は県内初だ。沖縄の歴史を変える。全国で存在感を示す知事になる。
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下地 幹郎氏(しもじ・みきお)1961年8月14日生まれ、宮古島市出身。中央学院大卒。96年衆院選で自民党から初当選。05年は無所属、09年は国民新党で計4回当選した。10年に国民新党幹事長に就任。12年に郵政・防災相に就任後、同年の選挙で落選した。
◆埋め立て承認取り消す/喜納氏
私は(普天間飛行場移設に伴う)辺野古の基地の問題に関しては、(埋め立て承認を)取り消すと断言する。いかなる方法を取ってでも撤回する。今、地球上は戦争だらけだ。私は沖縄の心を世界に運び、平和の花を咲かせる。山と海が元気であれば、生活ができる。地球上で砂漠化、熱帯雨林の破壊、温暖化が進んでいるが、沖縄から新しいエネルギー革命、サイエンス革命を起こそう。金を多く持つことだけが経済ではない。島の生活、地球と生きるライフスタイルをつくるため、日本初の離島の最低所得保障制度をつくる。
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喜納 昌吉氏(きな・しょうきち)1948年6月10日生まれ。沖縄市出身。沖縄国際大中退。ミュージシャン。04年参院選比例代表で民主党から初当選。同年に同党県連代表に就任。10年落選。14年10月に民主党県連代表を辞任、知事選出馬を理由に党を除名された。
◆新基地 絶対造らせない/翁長氏
今朝、摩文仁の魂魄の塔に手を合わせた。多くの方が無念さを思いながら亡くなっていった。政治の原点は平和だと心から思った。私は保守だが沖縄の保守だ。日米安保に理解は示すが、0・6%の沖縄に74%の基地を押し付ける理不尽は絶対に許せない。辺野古への新基地はありとあらゆる手段で造らせない。県民の意思を示し、政治家はぶれたが、県民はぶれていないということを選挙でしっかりと示そう。子や孫が沖縄に誇りを持って、アジアや世界に雄飛していくことに沖縄の21世紀の可能性がある。これを成し遂げよう。
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翁長 雄志氏(おなが・たけし)1950年10月2日生まれ。那覇市出身。法政大卒。会社役員を経て85年に自民公認で那覇市議に初当選し市議2期、92年から県議2期務め、97年に自民党県連幹事長。00年に無所属で那覇市長に初当選して4期14年務め、今月退任した。
◆普天間の解決が最優先/仲井真氏
私は沖縄の誇りを胸に抱き、子や孫のため、残っているエネルギー全部をささげる覚悟だ。第一に普天間を解決する。これは最優先の課題だ。去年の暮れ、辺野古埋め立てを承認した。5年以内の運用停止を安倍首相は確約してくれた。苦渋の選択だが、辺野古地域の方々は条件付きで賛成だと言っている。面積を小さくして民家から1キロ離すなど安全に使用できる。宜野湾の人に手を差し伸べて、お互いに助け合おう。経済も自立へ向かっている。市民、県民の暮らしを守り抜くため、あと4年ください。結果を確実に出す。
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仲井真 弘多氏(なかいま・ひろかず)1939年8月19日生まれ、那覇市出身。東京大卒。61年に通産省(現経済産業省)入省。90年、大田昌秀県政で副知事。沖縄電力社長、県商工会議所連合会会長など歴任。06年知事選で初当選し、現在2期目。
<立候補者>届け出順・敬称略
下地幹郎(53) 無所属新人、元郵政民営化担当相
喜納昌吉(66) 無所属新人、元参院議員
翁長雄志(64) 無所属新人、前那覇市長
仲井真弘多(75) 無所属現職、自民推薦
英文へ→Okinawa gubernatorial race starts with four candidates