【名護】県知事選挙が告示された30日、米軍普天間飛行場移設に伴う新基地建設計画が進む名護市では、最大の争点とされる辺野古移設について「絶対に造らせたくない」との声の一方で「造られるのなら、まちづくりに力を入れてほしい」との声も聞かれた。
米軍キャンプ・シュワブのゲート前で建設に反対する座り込みに参加した「辺野古・大浦湾に新基地つくらせない二見以北住民の会」会長の松田藤子さん(74)は「新基地ができると米軍機の騒音などで被害がある。過疎化は進んでいるが絶対に基地は造らせたくない」と求めた。
「辺野古区民は基地ではなく政治家に翻弄(ほんんろう)されている」。国道を行き交う選挙カーに冷めた視線を送るのは、辺野古商工会長の飯田昭弘さん(66)。受け入れによる北部振興策や鳩山政権時代に県外移設案が提案されたこれまでを振り返る。「基地建設はない方がいい。でも国防上必要で、他府県で受け入れる所はない。造られるのなら辺野古のまちづくりのために予算を確保してほしい」と話した。
建設予定地に近い市大浦で畑作業をしていた仲村宏一さん(70)は基地内で土木業を請け負った経験がある。「生活のために基地が必要という気持ちも分かるが、子や孫のためには基地建設は反対。ただ仮に反対の県民が多くても政府が聞き入れるか分からない」と懸念を示した。
辺野古への基地移設問題は、若者の中でも関心を集めている。名桜大学3年の金城倫実さん(23)は「大学周辺をはじめ、名護市は自然豊かな地域。基地は似合わないし、戦争を生み出す原因になるような基地は必要ないと思う」と話した。シュワブ内で英語を学んでいるという同大2年仲地碧さん(21)は「ゲート前で県民同士が激しいぶつかり合いをしているのを見ると、心が痛い。基地問題が良い解決に向かうようにしてほしい」と述べた。