進まぬバリアフリー 県内の投票所の25%に段差


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県内投票所(339カ所)のバリアフリー調査結果

 2011年7月に改正された障害者基本法で投票所のバリアフリーが義務化されたにもかかわらず、期日前を含む県内投票所計339カ所(9月2日現在)で車いすに対応した「段差なし」の施設は253カ所(74・6%)にとどまることが、県脊髄損傷者協会の調べで分かった。

残る86カ所(25・4%)が「段差あり」で、このうち簡易スロープの未設置は全体の7%となる24カ所だった。識者は「民主主義社会で最も保障される権利が投票であり、(高齢者や子育て世代などに対するものも含め)全バリアフリー化は当然だ。調査結果は行政の怠慢と基本法改正の理念の形骸化を示す」と指摘した。
 国政と知事・県議の選挙では点字の候補者名簿が発行されている。市町村長・議員の選挙で設置したのは那覇市や浦添市、名護市など16市町村で、投票所では49・3%。25市町村、投票所の50・7%で未設置だった。手話通訳者の配置は0%だった。
 成年後見人が付くと選挙権を失う規定が13年に削除され、被後見人の選挙権が回復したことへの「制度周知」も0%だった。
 バリアフリーの義務化後「改正を機とした取り組みの有無」を尋ねたところ、那覇市を除く40市町村が「いいえ」と回答。ほとんどの選管が理由に「法改正以前から取り組んでいる」としている。
 那覇市は知事選から「コミュニケーションボード」を導入する。コミュニケーションボードは「入場券を忘れた」など投票に関する質問やその回答例を、障がい者向けにイラストなどで示した印刷物。那覇市は53カ所に設置し、全体の15・6%になる。
 結果について村上有慶(あきよし)県福祉のまちづくり前審議会長は「調査結果は障がい者の投票行動が依然として制限される実態を示しており、驚くべきことだ。投票という基本的人権さえ守れない、人権意識の低さの表れとも言える」と強調した。
 調査方法は9月2日と10月20日、投票所業務を担う41市町村選管に調査票を配布した。聞き取りなども加えて回答を得た。
 協会は3日午後2時から実例報告会を那覇市の県総合福祉センターで開催し、調査結果を報告する。
(’14知事選取材班)