【島人の目】「最悪の大統領」胸中は


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 7月2日に米キニビアック大学が発表した世論調査によれば、オバマ大統領が第2次世界大戦後「最悪の大統領」に選ばれた。2位のブッシュ前大統領を5ポイントも引き離したニュースは驚きだった。

 対イラク戦争であれだけの米軍の戦死者を出し、理不尽で一方的な戦争と批判され、米国の経済を悪化させフィスカル・クリフ(財政の崖)に立たされたアメリカ市民は、ブッシュ前大統領を「最悪の大統領」に選んだと思ったが、彼を抜いて最悪大統領との評価を受けたオバマ大統領の胸の中はいかばかりか、計り知れない。
 僕がアメリカの市民権を得てから10年、その間2回の大統領選挙でオバマ氏に投票した。アメリカ経済もだいぶ回復し、国内情勢も安定してきたのに、その大統領の人気がいまいちとは。やはりアメリカは全ての面で世界一の国でなければならないのだろう。
 ノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領は「戦わない大統領」としてのイメージがあり、共和党議員らからの批判をもてあましているように見える。多くの大使の任命が承認待ちで、すんなりと事が運んでいない。やはり、ドイツのメルケル首相の電話盗聴問題やスノーデン元CIA職員の暴露問題などが影響しているのであろう。
 3位はウォーターゲート事件で辞任に追い込まれたニクソン元大統領、4位は人権外交を主張したカーター元大統領と続いた。
 ことしの4月23日から25日まで、国賓として日本に招待されたオバマ大統領は、沖縄問題は全て日本政府にお任せなので、あえて普天間や辺野古問題には触れずじまいであり、県民に失望感を与えた。沖縄にある米軍基地縮小に取り組む米大統領の出現はいったいいつになるのであろうか、とんと見当がつかない。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)