【交差点】沖縄からのお土産


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 沖縄に帰って、時には琉球漆器店に立ち寄り壺屋通りを歩く。お店の人と会話をしながら気に入った漆器や壺屋焼をお土産に買って大連に戻ってくる。
 大連では不定期に気の合う仲間7、8人で集っている。経験を生かして中国の若者の育成に力を注いでいるリタイア組、日本を飛び出して求職に奔走している若者、大学の中国語学科に在籍して、放課後は街で見聞を広めている留学生などである。集う場所は彼らのマンションであったり学生寮であったりする。年齢差に幅があり行動範囲が異なる彼らの豊かな情報はありがたい。
 こんな時、大いに役立つのが沖縄のお土産である。「琉球漆器」をお店の人から仕入れた知識を添えて渡す。朱塗りの盛皿を渡された友人は、顔に近づけたり裏を返したりして珍しがる。次に集った時にはテーブルの上に中国のお菓子や果物が盛られている。仲間の一人の「これ、沖縄の物でしょう」をきっかけに、友人は琉球漆器の知識を披露する。ずいぶん詳しくなっていて私を驚かせる。
 酒上戸に喜ばれるのは壺屋の「カラカラ」である。早速白酒(大連の地酒)を注いで「それでは皆で乾杯!」となる。次に行った時には泡盛が入っている。
 沖縄に行ったことのある人も行きたい人も沖縄を離れて暮す私も泡盛を酌み交わしながら、ひとしきり沖縄の話に花を咲かせる。実用品として存在感を発揮する沖縄の工芸品は大連でも光を放っている。
 (池宮城克子・雑誌編集者、ウチナー民間大使)