ハワイと沖縄 絆実感 戦後救った県系移民の子孫が訪問


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ハワイから来沖した(左から)上江洲・ダリル・ヤスヒデさん、糸村ジョーン昌一さんに豚を降ろした桟橋があった場所を説明する新垣善昭さん(右)=4日、うるま市勝連の米海軍ホワイトビーチ

 終戦直後の県内の食糧難を救うため、ハワイから沖縄に豚約550頭を送った県系移民の子孫らが4日、豚が陸揚げされた米海軍ホワイトビーチ(うるま市勝連)を訪れた。

陸揚げ作業を手伝った新垣善昭さん(85)=うるま市=から当時の様子を聞いた。子孫らは「ハワイと沖縄の人々のつながりを実感した」と思いをはせた。
 沖縄の食糧難を知ったハワイの県系移民は1947年に「ハワイ連合沖縄救済会」を立ち上げ、沖縄に豚を送ろうと寄付金を募った。その準備が整った48年、選抜された移民7人が米軍徴用船でオレゴン州から出港し、約4週間後に沖縄へ豚を送り届けた。
 今回、沖縄を訪れたのは、移民7人のうち島袋真栄さんの孫、糸村ジョーン昌一さん(51)と、上江洲易男さんの息子、上江洲・ダリル・ヤスヒデさん(61)。豚がかつて陸揚げされた桟橋跡を眺めた糸村さんは「7人は祖国に恩返しを果たしたという気持ちでいっぱいだっただろう」と語った。また、上江洲さんは「全ての県系移民が沖縄のためにできることを考えた。この場所を訪れ、そのことをあらためて実感した」と強調した。
 新垣さんは到着した船の甲板から海に落ちた豚を陸に引き上げた思い出を振り返り、「ハワイの移民らに心から感謝したい」と話した。移民の子孫らは10月31日に総勢16人で来沖。10日までに滞在する予定。