2015年4月に始まる「子ども・子育て支援新制度」に伴い、幼稚園児が放課後児童クラブ(学童)を利用することが原則できなくなる。琉球新報社が7日までに全41市町村に実施したアンケートによると、公立幼稚園の降園後に学童を利用する5歳児は本年度22市町村1316人で、全体の11・2%を占めた。
学童を利用予定だった親からは「どこに預ければいいのか」と不安の声が上がる。各市町村は現在、行き場がない園児が出ないよう対応策の検討を加速させている。
各市町村とも現時点では次年度のニーズを捉え切れない現状だが、市町村の対応次第では降園後の居場所がない5歳児が出る可能性もある。
アンケートによると、園児が学童を利用している22市町村のうち、複数回答で11市町村が幼稚園の「預かり保育」を拡充し、11市町村が認可保育園の5歳児定員を増やす予定だ。「検討中」は8市町村。市町村は今後、幼稚園や保育園の申し込み状況を踏まえ、調整作業を本格化させる。
国、県、市町村の補助を受けて放課後児童健全育成事業として実施する児童クラブは、児童福祉法で小学生が対象。だが、沖縄では「5歳になったら幼稚園」という慣習が根強く、親の就労などで保育を必要とする子も公立幼稚園に通う子が多い。このため、降園後の居場所が不安定になるなどの「5歳児問題」があり、学童や認可外保育園が利用されてきた経緯がある。
こうした実態に国は、園児も補助対象とする「特例承認」を1年ごとに講じてきたが同時に「特例の解消」も促しており、特例が残るのは10市町村。だが、多くの学童は補助がなくても自助努力で幼稚園児を受け入れてきた。
しかし、新制度に伴い市町村は、児童クラブの対象児童や面積などの基準を条例で定めることが義務付けられる。このため、学童の“自助努力”による受け入れが難しくなる。
県子育て支援課は「幼稚園児は事業の対象外。特例承認なく受け入れれば『類似事業』となる。国の特例が来年認められるかは分からない。市町村は5歳児保育や一時預かり事業を活用してほしい」と話した。
琉球新報社は10月、新制度への対応を聞く目的でアンケートなどを実施し、全41市町村が回答した。
<用語>5歳児問題
沖縄では戦後の米統治下で、保育所より幼稚園整備が先行し、各小学校に隣接する1年制の幼稚園整備が進んだ。保育所整備が立ち遅れ、認可保育園の5歳児定員も少ないため、親の就労などで保育を必要とする子も公立幼稚園を多数利用している。このため、降園後に学童や認可外保育園を利用する「二重保育」の状態や、園児が一人で午後を過ごす実態などが、沖縄特有の「5歳児問題」として長年指摘されてきた。