人口逆転が目前 増える八重山圏域、減る宮古圏域


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宮古圏域と八重山圏域の人口の推移

 統計のある1920年以降、宮古圏域の人口が八重山圏域の人口を上回っていたが、その差がかつてなく縮まっており、2014年度中にも逆転する見通しだ。県統計課がまとめた10月1日現在の県推計人口は、宮古圏域の5万2732人に対し、八重山圏域は5万2651人でその差は81人に迫っている。

毎月発表される県推計人口で両圏域の人口差が2桁になったのは初めてで、県企画部も「近く逆転しそうだ」との見解を示している。
 1920年の国勢調査によると宮古圏域の人口は5万3098人で、八重山圏域の人口は3万2063人だった。戦後初めて行われた50年の調査では宮古7万4618人、八重山4万3986人で人口差は3万人強まで拡大した。その後14年10月の県推計人口まで一貫して宮古の人口が八重山の人口を上回っている。
 14年10月1日現在の両圏域の人口を、前年同月と比較すると宮古が0・57%減少しているのに対し、八重山は0・25%上昇している。この割合で人口が推移したとすると、15年1月に八重山の人口が宮古の人口を上回ることになる。
 14年4月に「県人口増加計画」をまとめた県企画調整課も「近年、宮古と八重山の人口差は縮まっており、近く逆転しそうだ」との見通しを示す。宮古圏域は出生率は高いものの圏域からの転出者も多く、人口の「社会減」が顕著に見られる一方、八重山圏域は石垣市を中心に移住ブームがあり、「社会増」が多いことが要因だという。
 両圏域の市町村別の合計特殊出生率(08~12年平均)を見ると、宮古は宮古島市が2・27、多良間村が2・07と、八重山は石垣市が2・16、竹富町が1・87、与那国町が1・89となっており、相対的に宮古圏域の出生率が高い。65歳以上の老年人口の割合(10年)は宮古島市23・2%、多良間村26・2%に対し、石垣市17・1%、竹富町20・7%、与那国町19・5%で高齢者の数も宮古が多い。
 県企画調整課は「県の計画では雇用の場の確保や移住者の定着対策、子育て環境の改善などに取り組むことで、2100年の人口を宮古は現状の横ばいの5万4千人、八重山は7万1千人程度まで拡大できると見込んでいる」と今後の展望を語った。(外間愛也)

<用語>県推計人口
 国が5年に1度実施している国勢調査の確報値を基に、月ごとの出生児数、死亡者数、転入者数、転出者数などを加減した数値を県が毎月月末に発表しているもの。2014年10月現在、10年10月に実施した国勢調査の確報値が基礎となっている。