【ロサンゼルス】琉舞の神髄存分に 合同発表会に700人


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「凌雲の会」による創作舞踊「わたんじゃー舟」の1部=リトル東京日米劇場

 11月2日「能羽ぐくる」と題して真境名愛子ロサンゼルス琉舞道場「愛元の会」とハワイ在住の真境名由苗2代家元および沖縄の真境名本流師匠会との合同公演が米ロサンゼルス・リトル東京の日米劇場で開催された。会場はほぼ満席の700人の観客でにぎわった。

 当日は、真境名本流・真境名由康初代家元による創作組踊と創作舞踊が主に演じられ、観客は組踊、舞踊の神髄を存分に味わった。全ての組踊、舞踊の解説とセリフは山内優子さんによって英訳された字幕で舞台の上方に映し出され、観客のウチナー言葉の理解を助けた。
 真境名由康氏の創作組踊「金武寺の虎千代」は、ロサンゼルスでは初の公演となった。「金武寺の虎千代」は、金武寺で修行中の息子・虎千代に会いに行く途中山賊に襲われ殺された母・乙樽の敵を、虎千代が討つ物語。母子の情を強調した傑作を「凌雲の会」が見事に演じ、観客の涙を誘った。
 もう一つの真境名由康創作舞踊「わたんじゃー舟」は、明治中期ごろ遊郭への渡し舟の風俗絵巻を舞踊化。豆腐売りの女、魚売りの女、子豚売りの女、坊主、遊女などのなりわいをユーモラスに描き、鳩間節や多くの民謡が使われるなど当時の風情や情緒がうかがえ、見る者を和ませた。
 真境名愛子さんは舞台終了後のあいさつで「沖縄から、ハワイから、真境名本流ロサンゼルス琉舞道場のメンバーとその家族の賛助出演に深謝の念をささげ、北米沖縄県人会のボランティアに感謝いたします」と謝意を述べた。その上で「真境名由苗2代家元なくして現在の自分はない。さらに、真境名由康初代家元の志を永遠に継承することを誓う」と力強く語った。
 沖縄芸能史研究会・當間一郎会長の紹介文には、「真境名由康先生の創作舞踊の特徴は、古典音楽をより多く組み入れ、歌詞を工夫して、見る人、聞く人への聴覚的な心地よさと、場面を盛り上げることにより組踊の魅力を印象付けたい一心からであった。『金武寺の虎千代』には14曲の名曲が使用され、真境名組踊の真髄と醍醐味を味わうことができる」と紹介されている。(当銘貞夫通信員)