秘密法評価で与野党に相違 衆院選アンケート


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衆院選沖縄選挙区 政策争点表(クリックで拡大)

 琉球新報が衆院選の立候補者9人に行った政策アンケートの2回目は、安全保障・憲法、政権評価に関する見解を紹介する。憲法改正には自民4候補全員と維新1人が賛成し、社民、生活、無所属の野党候補は反対の立場を示した。ただ9条改正には自民候補からも慎重意見が出ている。

閣僚の靖国神社参拝について賛成する候補はおらず、自民候補は「個人の判断」に委ねる考えを示し、新知事派の4候補は反対の立場で一致した。特定秘密保護法や集団的自衛権の行使容認についても与野党で見解が割れた。(’14衆院選取材班)

◆1区/護憲か加憲か異なる
 沖縄1区は共産前職の赤嶺政賢氏、自民前職の国場幸之助氏、維新元職の下地幹郎氏が各項目で異なる考えを示した。
 憲法改正は赤嶺氏が「恒久平和主義、幅広い人権条項など世界的にも先駆的な内容」と反対の立場を示した。国場氏は3原則を堅持しつつ「環境権や地方分権など変えるべきは変える」と指摘。下地氏は「プライバシー権や環境権など新しい権利を明文化する」と賛成の立場を示した。
 閣僚の靖国神社参拝について、赤嶺氏は同神社を「過去の侵略戦争を美化、宣伝する特殊な施設」と指摘し、参拝に反対。国場氏は「個人の良心に委ねる」との理由で「どちらともいえない」を選択した。下地氏は「手を合わせるのは当たり前のこと」としつつ、近隣諸国の理解を得る必要性も示した。
 安倍政権への評価について、赤嶺氏は辺野古移設強行を指摘し「民主主義否定の暴挙で、戦後最悪の内閣」と酷評。国場氏は長期政権を評価する一方「県民の民意と尊厳を尊重し丁寧な対応を求める」と注文。下地氏は辺野古移設強行に加え「閣議決定で集団的自衛権の憲法解釈変更を行うなど国民軽視だ」と批判した。

◆2区/9条と自衛隊で対立
 米軍基地が集中し、安全保障問題への対応が注目される沖縄2区は、憲法改正や集団的自衛権の行使容認をめぐり2候補の主張が異なる。安倍内閣については、照屋寛徳氏が「戦争ができる国づくりへ暴走している」と批判、宮崎政久氏は「経済政策を強力に進めている」と評価した。
 改憲と9条改正について照屋氏はいずれも反対。自民党の改憲草案で示された自衛隊の国防軍化などを「改悪」と主張する。宮崎氏はいずれも賛成。「自衛隊の存在を憲法にしっかり規定、コントロールすべきだ」と主張する。
 集団的自衛権の行使には照屋氏が反対。閣議決定での行使容認を「立憲主義と国民主権に反する」と批判する。宮崎氏は、日本人の生命を守る場合に限定しているとして「憲法解釈変更で行使容認」の立場だ。
 特定秘密保護法は、照屋氏が「国民の目と口をふさぐ法律で断固反対」とし、廃止を求める。宮崎氏は「恣意(しい)的運用に歯止めをかけるルールを整備した」とそのまま施行する立場を取る。

◆3区/行使容認めぐり賛否
 米空軍嘉手納基地を抱える沖縄3区。米軍との協力体制の強化を想定した集団的自衛権の行使容認について、比嘉奈津美氏は「憲法解釈変更で行使容認」と答えて政府・与党と同じ立場を強調した。対する玉城デニー氏は「個別的自衛権の範囲内で専守防衛は可能だ」と指摘して「行使容認反対」を主張して、両者の意見が分かれた。
 政府・与党で検討される憲法改正について、比嘉氏は「時代に合った内容に是正すべきだ」として「賛成」と答え、玉城氏は「検討が不十分」と「反対」の立場を強調した。
 憲法9条改正については、比嘉氏が「国民議論が必要」と言及を避け、玉城氏は「反対」と明言した。
 国民の「知る権利」を侵害するとの指摘がある特定秘密保護法について、比嘉氏は「そのまま施行する」、玉城氏は「廃止する」と立場の相違が明確になった。

◆4区/全項目で主張に違い
 沖縄4区に立候補している2候補は「安全保障・憲法」の全項目で見解が分かれた。
 憲法改正では無所属新人の仲里利信氏が現憲法について「国民主権の素晴らしい内容」と指摘し、改憲に反対の立場を示した。これに対し、自民前職の西銘恒三郎氏は「9条の平和の理念を守りながら、自衛隊の位置付けを明確にすべき」と改憲に賛成した。
 政府が閣議決定した集団的自衛権の行使容認に関しては仲里氏が反対の立場で「戦争につながるため」と説明した。西銘氏は、閣議決定ではなく「憲法改正で行使容認」をすべきとして「本来は個別も集団もなく自衛権は行使できるようにすべき」と指摘した。
 特定秘密保護法は仲里氏は「廃止するべき」との立場を明確にし、「国民の知る権利を損なうため」と同法の問題点を指摘した。一方、西銘氏は「国家として重要な機密を外部に漏らさないことは必要だが、言論の自由を阻害しないよう配慮すべき」として「知る権利」と「情報を守る義務」の線を引くべきとした。