料理レベル=女のレベルと言うやつ死ね、な貴女に
女を32年やっていると、時に料理について、あれやこれやと言われる瞬間がある。えっ、自炊してないの? 結婚できないよ(3食コンビニ飯と宣言した合コンにて、商社マンより)とか、やっぱり女の子だね、料理が好きなんて(鳩山由紀夫が政権を握った際、気まぐれに鳩山幸のレシピ「幸ちゃん揚げ」という謎の料理を作る私を見た父の一言。父よあなたの目は節穴か)とか。それを言われるたびに、女としての合否の烙印をおまえが押すかとイライラした。
そんな「料理と女性性をいっしょくたに語る男」にうんざりしていたそこの貴女。貴女にオススメの本が発売されました。それが本書です。高山なおみといえば今や人気の料理研究家。出す本、出す本、書店で平積みされているのでご存じの方も多いでしょう。彼女の新刊は、エッセーとレシピが一冊となっています。
ほこりのかぶった母の嫁入り道具の料理本を、引っ張り出してきたような装丁。表紙をめくるとそこはかとなく異国の情緒が感じられるレシピ。モンゴルだれ、ちくわ炒め、タプナードの炊き込みごはん……。今と昔を、こことあそこを行ったり来たりするような不思議な料理が並んでいる。
エッセーで高山は料理についてこう語っている。「それをしている自分が好きかどうか」。玉ネギをあめ色になるまで炒めたり、もやしのひげを取ったり、肉に焼き色を付けたり。「それをしてる自分のことを想像してみて、もしも嫌いだなと思ったら、そういう時はべつに料理なんかすることありません。」
料理は、したければするもの。誰かに合否をジャッジしてもらうためのものじゃない。しなければ死ぬわけじゃないし、したら幸せになれるものでもない。料理本でありながら、料理研究家でありながら、それ以前に一人の人間として立っているように思えて、なんだかすごく信頼できる。
(KADOKAWA 1900円+税)=アリー・マントワネット
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アリー・マントワネットのプロフィル
アリー・マントワネット ライターとして細々と稼働中。ファッション、アイドル、恋愛観など、女性にまつわる話題に興味あり。尊敬する人物は清水ミチコ。趣味はダイエット、特技はリバウンド。
(共同通信)
KADOKAWA/メディアファクトリー
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