翁長良明さん、60年収集の品展示 三山時代通貨など


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作品解説会で収集品について語る翁長良明さん(左)=7日、那覇市歴史博物館

 琉球王朝や沖縄関係の資料収集歴60年を迎えた県内屈指の個人収集家、翁長良明さん(66)の収蔵品の一部を集めた那覇市歴史博物館企画展「沖縄(うちなー)への思(うむ)い」が、同館で開催されている。21日まで。

翁長さんが20年をかけて執念で手に入れた琉球王朝より前の三山時代の通貨・中山通宝をはじめとする国内外の通貨、琉球王朝時代の漆器、パナマ帽、ウルマ新報創刊号、果ては映画館の半券まで百花繚乱(ひゃっかりょうらん)の品ぞろえだ。沖縄が好きでこだわる翁長さんは「誰かが資料を集め、次世代に残さなくてはならない」とあらゆる分野の収集に全力を挙げ続ける。
 首里汀良町で生まれ、6歳のとき首里城の近くで古銭を拾ったのを機に収集の道へ入った。1970年に首里当蔵町でなるみ弁当を開店、2007年まで続けた。現在は平和通りで古美術なるみ堂を営む。その間、通貨、漆器、絵画、書物といった本格古物から、オリオンビールの缶や箱、紙製の飲料パック、バス券、黒糖の袋など生活雑貨までをとてつもない数集め、保管する。「川の流れですね。去った物は戻らない」と翁長さん。もちろん百貨店包装紙も集めており「今は三越(そのもの)がほしい」と真剣に語る。
 古い歴史のある物について「沖縄戦で焼けてしまって全部ないからね。本土で探して一点でも取り戻したい」。原点には、沖縄への思いが詰まる。
 博物館で7日、翁長さんの作品解説会が開かれ、収集秘話や資料の時代背景などに20人が興味深く聞き入った。同館の吉田佐和子非常勤学芸員は「古い物から現代の物まで全時代を幅広いジャンルでできるコレクターはいない」と語った。次の解説会は14日午後2時から開く(同日午後2~4時まで入場無料)。通常は入場一般300円、大学生以下200円、中学生以下100円。問い合わせは同館(電話)098(869)5266。