米軍返還地から廃棄物 うるま市の農地、土壌に異変


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返還された米軍用地からの廃棄物を掘り起こす藏當正安さん=うるま市

 【うるま】日本復帰前に米軍から返還された現在のうるま市立与勝第二中学校裏手の旧米軍用地、饒辺安勢理の農地から、駐留していた米軍のものとみられる廃棄物が相次いで見つかり、土地所有権者が困惑している。覆土された土地を5センチ程度掘るだけで廃油ボールや道路舗装資材、コンクリート片、ケーブルなどが出てきており、ずさんな返還の在り方が問われそうだ。

 土地所有権者の藏當正安さんは「こんな返還の在り方があるか。畑の周辺は石や金属パイプ、ぼろ生地が出てきて、農作物も根付かない」と憤っている。
 定年後に農業を始めた藏當さんは、同地で、タマネギやニンジンなどの栽培を始めたが、昨年土壌の異変に気付き、うるま市役所にも現地を見せた。覆土された土地の地下に何があったのかを知るために図面がないか照会したが、市役所も所有しておらず、不安は募るばかりという。
 本来の土質と違う土も出ており、覆土された土地の下に何が埋まっているのか知る手掛かりもない。土地の返還後に業者などにより廃棄物が持ち込まれた形跡はなく、駐留していた米軍の廃棄物がそのまま残った可能性が濃厚という。
 所有地も含めた周辺地には、復帰前にミサイル発射台などが設置された米軍基地だったという。藏當さんの所有する土地は約1300平方メートルある。周囲には畑もあるが、ほとんどの土地が活用されることなく、原野となっている。
 藏當さんは「おそらくここらへんは掘り起こせば、廃棄物が次々出てくる。掘り起こして実態を知りたいと思うが、今はなすすべがない」と話す。