『ベイマックス』 科学に裏打ちされた斬新な造形


社会
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 ディズニーの3DCGアニメ最新作だ。“ベイマックス”とは、主人公である14歳の天才科学者ヒロのために亡き兄タダシが遺したケア・ロボットの名前。雪だるまを思わせるこのロボットとヒロの交流がハートウォーミングに描かれる話かと思いきや、後半になるとテーストが一転、各々のスキルを生かしながら協力して悪と戦う日本の戦隊ヒーローもののようなチーム・ヒーロー映画に早変わりしてしまう。

 それもそのはず、原題は“BIG HERO 6”。日本人の6人の超能力ヒーローが活躍するマーベルコミックスが原案なのだ(ほとんど原形は留めていないが)。もちろん日本に対するリスペクトに満ちた作品で、舞台はサンフランシスコと東京をミックスした都市サンフランソウキョウ、ベイマックスの顔も鈴がモチーフになっている。
 そして何と言っても、そのベイマックスの造形が斬新! 空気が詰まった柔らかい半透明のボディは、一見癒やし系ながらとても機能的。見た目と違い、科学的なリアリティーに裏打ちされたデザインなのだ。ベイマックスを見ているだけでも飽きない。その上、ストーリーやキャラクター、空間表現まで超一級の出来栄えときている。今年のお正月映画は、他にも『インターステラー』『ゴーン・ガール』『寄生獣』など、本当にレベルが高い。★★★★★(外山真也)

 【データ】
監督:ドン・ホール、クリス・ウィリアムズ
声の出演:ライアン・ポッター、スコット・アツィット
12月20日(土)から全国公開
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外山真也のプロフィル
 とやま・しんや 映画ライター&時々編集者。1966年愛知県出身。学生時代はヨーロッパ映画を中心に見ていたが、情報誌の仕事が長かったため、今は洋の東西を問わず、単館系からハリウッドまで幅広くが信条。主な執筆媒体:月刊TVfan、日本映画navi、ぴあ各誌。
(共同通信)

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外山真也