【アルゼンチン】沖縄文化伝え “夢海渡太鼓”周年祝い式典


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「どんど焼き」行事で演奏を披露する夢海渡太鼓(後方)

 アルゼンチン夢海渡太鼓グループの創立20周年を記念した式典・祝賀会がこのほど、アルゼンチン・ブエノスアイレス市内の日本庭園で行われた。アルゼンチン社会と一体化した活動や社会貢献が広がってきたことなどの報告があった。

 アルゼンチン夢海渡太鼓は1994年、沖縄に留学経験がある比嘉モニカさんと当眞クラウディアさんを中心に結成した。2人は北中城村の夢海渡太鼓から太鼓を学び、その後、夢海渡太鼓がアルゼンチン遠征の際に楽器を寄付。それをきっかけにアルゼンチン初の太鼓グループ結成となった。
 アルゼンチン夢海渡太鼓は現在、日系人や非日系人ら22人で構成している。現地で沖縄文化の継承に取り組んでおり、近頃はアルゼンチンの打楽器フェスティバルに出演したり、日系のイベント以外でも活躍している。
 ことし8月末には、アルゼンチン「どんど焼き」行事に参加。太鼓の勇壮な演舞を展開し、ブエノスアイレス市民を中心に集まった約400人を魅了した。
 祝賀会のあった日本庭園は、ブエノスアイレス市のパレルモ公園内にあり、広さは2・5ヘクタールで、同国の文化財に指定されている。67年に建設されたが、現在の庭園は当初の6倍に再建された。その再建に大きく関わったのは医学博士の宇野文平氏で、6月6日に89歳で亡くなった。
 宇野氏は51年に北海道大学の医師免許取得、98年に同大学の博士号取得。50年代にアルゼンチンに渡り、ベルナルド・ウッサイ教授(47年のノーベル生理学・医学賞受賞者)の下で研究した。在亜日本人会長時代(80年代)には、自然消滅の危機にあった在亜中央日本人会を再建した。
 また、日本に留学した日系2世の医師たちをまとめ、「日会共済会」を設立、それを土台として日本病院建設プロジェクトを進めるなど、日系社会の偉人の一人だった。(大城リカルド通信員)