【島人の目】「クリスマス」のすごさ


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 キリスト教最大の祭典「クリスマス」がことしも終わった。僕はクリスマスのたびに、いまさらながら「西洋文明ってホントにすごいな」と思う。クリスマスが日本を含む世界中の非キリスト教国でも祝されるからである。

 クリスマスは自動車や飛行機や電気など、利便と普遍性が特徴である文明ではない。宗教にまつわる文化である。そして文化は常に特殊なものであり、閉鎖的でもあり、時にはその文化圏外の人間には理解不可能な「化け物」のようなものでさえある。だからこそそれは「化け物の文(知性)」、つまり文化と呼称されるのだろう。
 世界中のそれぞれの文化は全て特異なものであり、特異であること自体に価値がある。従ってそこには文明とは裏腹に優劣はなく、違いがあるだけである。
 キリスト教徒以外の人々にとっては、風変わりなものであるクリスマスという文化が、世界中に広まり、受け入れられ、楽しまれているのは稀有(けう)なことである。それは例えば、日本の宗教文化「盆」が世界各地で祝福され、毎年その時期になるとパリやロンドンやニューヨークの広場で盆踊りが開催されて、人々が浴衣を着て楽しむ、というくらいの大きな出来事である。
 クリスマスが世界的になったのは文化の背後に「西洋文明」という巨大な力が存在したからだ。人々は優れた西洋文明と共にやって来た、クリスマスという「優劣では測れない」文化もまた優れている、と自動的に考えた。あるいは錯覚した。そうやってクリスマスは世界中で祝われる行事になっていった。すごいことではないか。(仲宗根雅則、TVディレクター)