集石遺構35基確認 名護・安和与那川原遺跡


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先人らが調理していたと思われる集石遺構を丁寧に掘り起こす調査員ら=22日、名護市安和

 【名護】名護市安和で県の河川工事に伴い、2007年から市が記録保存調査を実施している「安和与那川原遺跡緊急発掘調査」現場で、「本島内で最多」(市文化課)とみられる約35基の集石遺構が見つかった。約3600~3千年前の貝塚時代に蒸し焼きなどに使用されたとみられる場所で、市によると1カ所でこれだけの数が見つかるのは珍しいという。

 集石遺構は、焼けて白くなった石灰岩と炭を含む土が堆積しているため、蒸し料理をした跡と思われる。貝塚時代に食材を葉でくるんで穴に入れ、その上に野焼きした石と土をかぶせて調理していたとみられる。集石の周辺ではすり石や貝、魚、ジュゴンの骨の一部なども見つかった。ただ、縦穴や敷石などの居住跡がないため、周辺で定住していた先住民が調理場として使用していた場所と思われるという。
 発掘調査現場は与那川をまたぐ市指定文化財「安和の大橋」に隣接する約1800平方メートルの区域。調査場所からは集石遺構だけでなく貝塚時代前期の伊波式土器や荻堂式土器、嘉徳1式土器も見つかっている。
 貝塚時代の安和地域は現在より海岸線が山手側にあったことに加え、調査場所が河口部も近いことから、市文化課は「海にも川にも近くて利便性が高く、何世代にもわたる営みがあったとうかがえる場所。保存状態も良いため、さまざまな分析をして詳細を調べていく」と述べた。
 市は15年度に調査を終え、16年度には報告書を作成する予定。