難病認定に署名2.4万人 沖縄型神経原性筋委縮症


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集まった署名と共に笑顔を見せる「希の会」の我如古盛健会長(右手前)と会のメンバー=24日、沖縄市内

 10月22日に発足した沖縄型神経原性筋萎縮症の家族会「希(のぞみ)の会」(我如古盛健会長)に厚生労働省へ特定疾患(難病)認定を求める嘆願書が30日現在、2万4388人分集まっている。

署名をした人からは「沖縄にこんな病気があるとは思わなかった」「ぜひ役立ててほしい」と支援の声が届いている。会員らは「短期間で、こんなに多く集まった」と驚きや感謝の声が相次いだ。
 現在、国が医療費の助成対象などとして認定している難病は56疾患だが2015年夏には300疾患まで拡大する。希の会は年度内に厚生労働省へ嘆願書を提出し、夏の認定を目指している。
 県内特有とされる沖縄型神経原性筋萎縮症は手指の筋肉が次第に萎縮し力が入らなくなるなどの症状がある病気。萎縮が体の上部に進んで全身にも及ぶと飲み込むのが困難となり、進行すると呼吸筋もまひして呼吸が十分にできなくなる。
 希の会は特定疾患に認定されることで病気の治療研究を促進させ、患者の金銭的負担の軽減にもつなげていこうと11月1日から署名活動を始めた。県内各地で患者や家族などが協力し署名を集めた。
 「ケントミファミリー」として音楽活動する我如古会長が全国各地で出張ライブした場所から届けられた署名もあり、兵庫県や東京都など県外の人からの署名も並ぶ。8年前に発症した幸地春美さん(52)=沖縄市=は「予想よりも多くの署名が集まってすごくうれしい。支援の輪が広がってほしい」と期待している。
 7年前に発症した幸地努さん(43)=沖縄市=は病気のため、ことし10月末で仕事を退職した。洗髪や階段の上り下りなどにも苦労している。「新薬を開発してもらって、早く元の生活に戻りたい」と切に願う。
 2、3年前に発症した宇良明美さん(50)=うるま市=は姉・春美さん、弟・努さんの症状を見て「どうせ治らない」と諦めていたという。だが「希の会」の発足で仲間がいることが心の支えになった。「こんなに多くの人が支えていると思うと希望が生まれる」と嘆願書を見詰めた。
 希の会も当初の15人から患者やその家族などが増え、80人になった。我如古会長は「みんなの力が集まってここまできた。支援してくれた人には感謝しかない」と話し、「一日も早い認定、新薬の開発で患者につらい思いをさせないようにしたい」と意気込んだ。現在も署名活動や会への入会を呼び掛けている。問い合わせは我如古会長(電話)090(8290)5746。(屋嘉部長将)