西原(男子)激闘制し16強 春の高校バレー


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 バレーボールの全日本高校選手権第2日は6日、東京体育館で2回戦が行われ、男子の西原は宇部商(山口)を2―1で下し、2年連続の16強入りを決めた。西原は第1セットを31―33で落としたが、第2セットを25―23で奪い、第3セットを26―24で競り勝った。

西原は7日に習志野(千葉)と3回戦を戦い、勝てば同日の準々決勝に進む。48年ぶりに出場した女子の那覇は春日部共栄(埼玉)に0―2で敗れ、初戦敗退した。このほか男子は総体覇者の東福岡や東亜学園(東京)が、女子は3冠を狙う金蘭会(大阪)などが3回戦に進出した。

◆これぞエース/仲本 試合決める弾丸サーブ
 第3セット、25―24のマッチポイントで西原のサーバーは仲本賢優。これ以上ない見せ場が回ってきた。「ここで思い切り打たなかったらエースじゃない」。弾丸のようなジャンプサーブが、相手選手をはじき飛ばした。勝利を確信した仲本は指を突き立て、これぞエースだと言わんばかりにほえた。
 初戦に続き、苦しい試合だった。第1セットはリードしていながら勝ち急いで終盤にミスを連発し、31―33で落とした。第2セットは両チームのエースが打ち合い、ジュースの末に最後は西原の主将、西泊颯斗が連続スパイクを決めて取り返した。
 そして迎えた第3セット。西原は一時8点のリードを奪いながらまたミスが出て追い付かれてしまう。ベンチからは「逃げるな逃げるな」とげきが飛ぶ。相手のサーブミスでスコアが21―20になると、再び両エースの打ち合いが繰り広げられ、最後に仲本の意地が上回った。
 前日の初戦ではチャンスで力んで打ち損じたり、サーブミスをしたりと「不完全燃焼だった」借りを返した仲本。7日は順調に勝ち上がれば3回戦、準々決勝の連戦が待ち受ける。「自分たちのバレーができれば負けない。絶対にひるまず戦う」。前身の全国高校選抜優勝大会で4強入りした1999年以来の快進撃へ、エースは爆発を期する。(大城周子)

◆女子・那覇、初戦飾れず/持ち味の粘りが不発
 48年ぶりに県大会を制し、「春高」に乗り込んだ那覇。全国舞台の熱気を全身に感じながら力を尽くしたが、強豪の壁は高かった。1時間足らずで去ることになった憧れのコート。選手たちの目には悔し涙があふれた。
 長身選手のそろう相手に序盤から打ち込まれた。事前に対策した通りブロックに跳んでもその上を狙われ、センターの重いスパイクにも苦しんだ。第2セットは一時5点まで開いた点差を追い付く粘りを見せたが、サービスエースを許すなどして再びリードを広げられた。「全てはサーブキャッチ」と敗因を振り返った平良久美子監督。芯で捉える場面が少なく、粘り強く拾って速攻につなげる持ち味を発揮できなかった。
 主将の大宜見実歩をはじめ、この日攻撃で存在感を示したライトの嶺井柚やセンターの比屋根郁海ら2年生が主体の若いチームで、伸びしろは十分にある。「本気で準備しないと全国は通用しないと感じた」と嶺井は言う。会場の規模や独特の緊張感、そして全国のレベル。「ここに立った者でしか分からない経験ができたことは大きい」と指揮官は実感を込める。「絶対に来年はリベンジして勝ち上がる」と大宜見。悔しさとともに刻んだ貴重な一歩を、無駄にはしない。(大城周子)

<用語>全日本バレーボール高等学校選手権大会
 2010年まで毎年3月に開かれていた全国高校選抜優勝大会に代わる大会として11年から始まった。
 愛称の「春高バレー」を継承し、成績は全日本高校選手権大会を兼ねていた09年までの全国高校総体の記録を引き継いでいる。

男子2回戦 西原―宇部商 第3セット、サービスエースで勝利を決め、雄たけびを上げる西原のエース仲本賢優=6日、東京体育館(大城周子撮影)
女子2回戦 那覇―春日部共栄 第1セット、スパイクを放つ那覇の嶺井柚=6日、東京体育館(大城周子撮影)