県が低温流通構築 中央卸売市場に冷蔵配送施設


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県が計画する低温物流の流れ

 県は、産地から消費地まで一貫した低温状態を維持したまま運ぶ流通体制「コールドチェーン」の確立を計画している。

体制構築に合わせ、浦添市伊奈武瀬の県中央卸売市場敷地内に、県産農作物を長期間保存するための冷蔵配送施設を2015年度内に設置し、供用開始を目指す。天候条件で県産農作物が不足しがちな夏場の安定供給を図り、青果物の高品質化や地産地消を推進する。
 施設面積は約2千平方メートルで、総事業費約7億円を予定している。県産農作物に関する低温流通の構築は初めて。
 これまで県は、学校給食やホテルなどで地産地消を勧めてきた。しかし県産農作物は、台風や干ばつなど天候の影響を受けやすく、安定供給が課題となっていた。長期間保存可能な冷蔵配送施設の設置で、県産農作物の安定供給の実現が期待できる。
 低温物流は、農家で栽培された野菜や果実を流通業者の冷蔵車で中央卸売市場の冷蔵配送施設まで運び、一定期間保存する。学校給食センターやホテルなどの県内需要者へ出荷する際も冷蔵車で運ぶ。低温状態を維持することで農作物の鮮度が保たれ、青果物の高品質化が図れる。
 県は施設が完成し次第、青果卸売業者に対して冷蔵車購入に関する補助を実施する意向を示している。冷蔵配送施設内は品目ごとに部屋を設け、鮮度保持に最適な気温や湿度を維持する。
 沖縄協同青果の名嘉重則社長は「県中央卸売市場での取り扱いの約3割が県産農作物。冷蔵配送施設の導入で県産の取扱量を約5割まで伸ばしたい」と展望を述べた。(上江洲真梨子)