【島人の目】東京の闘士たち


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 東京滞在中に「GAMA―月桃の花」を観賞する機会に恵まれた。数年前、その映画のモデルの安里要江さんの講演を北中城で拝聴したことがあり、また安里さんはわが友人のメリーランド州在のハワイ3世の伯母に当たり、その友人から映画のことを聞かされていて、いつか観賞できたらと思っていた。そして幸運にも日野市に住む同級生からの上映会の誘いに「OK」と即答した。

 会場には県知事選で翁長雄志さんが圧勝したニュースを報道した沖縄の地元新聞や、オスプレイ反対のチラシなども準備されていた。
 映画は沖縄戦の悲惨な情景が実際のフィルムを通して伝わり、また「集団自決」(強制集団死)へと至る人民の心情が軍隊との関わりの中で描かれ、現代においても戦争に翻弄(ほんろう)されている沖縄の人たちの苦悩に涙なしでは見られなかったが、生き延びた主人公の生きざまから「命どぅ宝」「平和への願い」が強いメッセージとなって胸に刻まれた。
 主催者の一人である日野市の有賀精一議員があいさつを始めたが、次第に感極まって涙声になり言葉に詰まるほどだった。そして最後に「沖縄の心をわれわれ本土の人間たちはもっと自分たちのことと感じるべきだ」と辺野古への新基地建設に反対する意思を述べた。「GAMA―月桃の花」を多くの人に見てもらうことによって、過去に行われてきた戦争の残酷さを知らせ、また平和の尊さを感じてもらいたいと語る有賀議員は、3年前から辺野古新基地建設やオスプレイ普天間配備反対を訴え、日米地位協定改定など沖縄の声を発信し、陳情などをしてきた。そして、沖縄の米軍基地やオスプレイ配備を追認する議会に対して、12月の議会で「沖縄の民意をどう受け止めるか」を問うつもりだとある機関紙に記している。
 上映後「月桃の花歌舞団」による合唱が披露された。その歌舞団の存在さえ知らなかったので、東京でこのような形で沖縄を考える催しがあることに新鮮な驚きがあった。日本全国どこの地方自治体も受け入れたくない基地を沖縄は過度に押し付けられているように感じ、本土との温度差を痛感していたが、今回各地で上映会や沖縄をアピールする歌舞団のパフォーマンスが行われていることに素直にうれしく思った。米国に戻って間もなく、映画に誘ってくれたわが同級生から月桃の花歌舞団に入会したとのメールが来た。
(鈴木多美子、米バージニア通信員)