那覇市教委 生活保護世帯不登校中学生の居場所づくり支援へ


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 生活保護世帯で不登校になった中学生の社会参加を支援する「居場所づくり事業」について、那覇市は2015年度から市教育委員会の自立支援教室事業として継続していく方針を固めた。現在、市内には生活保護世帯で不登校の中学生の居場所「kukulu(ククル)」があるが、国の制度変更により、居場所づくり事業は全額補助から2分の1補助に引き下げが決まっていたため、事業が継続されるかどうか不透明な状況だった。

関係者からは「複合的な原因を抱えている子どもたちなので、これまで支援してきたNPO法人の力を借りながら支援を深めてほしい」などの声が上がっている。
 市教委は03年度から不登校児童・生徒の登校復帰などを支援する「きら星学級」を運営してきた。15年度からは「きら星第2学級」を創設し、現在、kukuluに通う生活保護世帯の生徒を支援する。居場所づくり事業では支援対象外だった生活保護世帯の小学生や生活保護に至らない生活困窮世帯の生徒も支援していく。
 農業体験のほかペンキ塗装や保育などの職業体験、調理実習などのプログラムを通し、登校復帰につなげていくという。支援の頻度は生徒1人当たり週3回、1カ月の期間を想定しており、年間30人の支援を見込む。13年度、小中合わせた那覇市の不登校児童は444人いた。
 きら星第2学級分で約1500万円の事業費を見積もり、沖縄振興一括交付金を活用する。事業費を盛り込んだ15年度当初予算案を2月議会に提案する。
 市教委の神谷乗治教育相談課長は「10年以上、きら星学級で子どもたちを支援してきた市教育委員会のノウハウを生かし、保護世帯や困窮世帯の生徒も支援していきたい」と語った。
 沖縄大学福祉文化学科の島村聡准教授は「現在はNPOが運営するが、今後は行政が直接運営する。場所や支援者が変わるので、子どもたちが戸惑わないように丁寧に引き継ぐことが必要だ。対応が難しいケースも予想されるので、関係者の力を借りながら支援を深めてほしい」と話した。
(当銘寿夫、玉城江梨子)