『エクソダス:神と王』


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たまには宗教と向き合うのも有意義ですな
 旧約聖書の『出エジプト記』につづられたモーゼの英雄譚を、映画『グラディエーター』のリドリー・スコット監督が描いたアドベンチャー大作。モーゼといやぁ、あーた、映画史で伝説となっているのはセシル・B・デミル監督の『十戒』ですよ。

 クライマックスでパカーンと海が割れて、モーゼがヘブライ人を引き連れて約束の地へ向かうシーンはあまりにも有名。名シーンをスコット監督がどう描くのかも見どころだが、ハッキリ言って、お子ちゃま時代に観たので肝心の中身を全く覚えていない筆者にとっては、絶好のおさらいの機会。どうやらエジプトをはじめとする中東では「事実と異なる」と上映禁止が相次いでいるらしいが、人間は昔から異なる人種を虐げたり、虐殺したりと、今に続く争いの歴史が相当根深いことを知るには良い題材。
 エジプト人を懲らしめる「モーゼの10の奇跡」も感慨深いですよ。カエルやアブの大量発生に、魚が死んで水が汚染、さらに疫病の蔓延と、今も時たま起こる災害ばかり。これだけ日本に自然災害が多発していると、神の仕業かと恨みたくもなるが、それは今の私たちの行動に向けられているのではないか?と改めて考えさせられてしまった。筆者自身は無宗教だが、たまには宗教と向き合うのも有意義ですな。★★★★☆(中山治美)

 【データ】
監督:リドリー・スコット
脚本:アダム・クーパーほか
出演:クリスチャン・ベール、ジョエル・エドガートン
1月30日(金)から全国公開
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中山治美のプロフィル
 なかやま・はるみ 映画ジャーナリスト。1969年水戸出身。スポーツ紙出身の血が騒ぎ、撮影現場やカンヌ、ベネチアなど映画祭取材に燃える。三池崇史、深作欣二、キム・キドク、アキ・カウリスマキなどひとクセのあるオヤジたちが大好き。
(共同通信)

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中山治美