障がい者の運動普及を 田中さん、東京障害者スポーツ協に内定


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障がい者スポーツの普及へ将来への夢を描く田中光哉さん(右)と成長を期待する山里勝己学長=28日、名護市の名桜大学

 【名護】名桜大学国際学群語学教育専攻4年の田中光哉さん(22)が公益社団法人東京都障害者スポーツ協会への就職が内定した。2020年の東京パラリンピックに携わる業務を担う予定で、障がい者スポーツの普及に新しい夢を描いている。先天性の病気で両方の腕に血栓障害があるが、小学校から高校までサッカーに打ち込んだスポーツマン。昨年暮れには英検1級に合格し、障がい者スポーツの国内外での発展にも取り組みたい考えだ。「努力家」の将来へ、学校関係者にも喜びの輪が広がっている。

 田中さんは福岡県久留米市出身。教職を夢見て名桜大に入学した。しかし、2年生の時にオーストラリアのウーロンゴン大学へ留学した際に転機が訪れた。
 街の体育館で、車いすの障がい者らが楽しそうに遊んでいた。日本国内との環境の違いに驚き「障がい者が日常に溶け込んでいた。バリアフリーの大切さを実感した」と振り返る。障がい者が楽しく暮らせる環境の普及と、スポーツの普及に携わりたいという思いが強くなったという。
 留学を前に打ち込んだのが英語の学習だった。入学当初は得意科目ではなかったが、根気強く単語などを覚え、徐々に英語力がアップ。国内学生と留学生らが交流を通し言語を学ぶ同大の言語学習センター(LLC)では、指導役となるチューターを任されるまでになった。
 昨年11月、2度目の挑戦で英検1級を手にした。指導に当たった渡慶次正則教授は「少なくとも、この10年は名桜大からの1級合格は聞いていない」と教え子をたたえる。山里勝己学長も「1級合格と素晴らしい仕事に就くことは双方で後輩らの励みになる」と喜ぶ。
 田中さんは「幅広い世代の障がい者が、さまざまなスポーツができる社会づくりに努めたい」と話し、「英語についてはまだ上のレベルがあり、英検1級を励みにさらに頑張りたい。英語力を生かし、来日する外国人とも交流を図り世界観を広げたい」と世界での活躍に思いをはせている。