辺野古仮桟橋「調査後に撤去」 防衛局、本体工事転用を否定


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 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設計画で、沖縄防衛局は埋め立て予定地に近く整備する計画の仮設桟橋について2日までに、県に「2月以降に海上での作業に着手し、海上ボーリング調査を終えた段階で撤去する予定」と文書で伝えた。「代替施設建設事業そのものの作業には使用しない」としている。

県が1月中旬に出した質問に対する回答で、県は今後専門家を交えて内容を精査する方針だ。
 防衛局は工期や撤去時期には回答していない。政府が6月ごろまでに本体工事に着手するとしている中、「仮設桟橋」の説明に疑問の声も出そうだ。仮設桟橋の設置に対し、翁長雄志知事が公有水面埋立法に基づく事前の工法変更申請や、県との岩礁破砕申請の再協議が必要などと判断した場合、本体工事に向けた海上作業に影響が出る可能性もある。
 仮設桟橋は移設予定地の辺野古崎付近に整備する計画。作業船が接岸できるよう100メートル超の桟橋とする大掛かりな事業で、「事実上の埋め立て工事」(防衛省関係者)とも指摘される。
 完成には数カ月かかる見通しだが、防衛局が予定している残り12カ所の海底掘削調査期間は3月末までで、調査のために整備する仮設桟橋の完成時期とほぼ重なりそうだ。
 仮設桟橋への対応に関して翁長知事は2日、取材に対し「責任のある話なのでじっくり吟味してから判断したい」と述べた。
 一方、防衛局は海上作業で立ち入り禁止区域を示す浮具(フロート)を固定するために設置している「トンブロック」などのアンカーについて、コンクリート製(10~45トン)と鋼製(480~870キロ)の2種類を計75カ所に、30~400メートル間隔で設置する方針を県への回答で示した。
 だが県からの岩礁破砕許可が必要かについては「(過去の)県との関係協議を踏まえ、手続きの対象にならないと判断した」とした。
 ただ県は台風などでアンカーが流失した問題を受け、防衛局側に環境監視委員会の議事概要などの資料提供を求めている。