『ミュータント・タートルズ』


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スリルと笑いの“緩急”がしっかりと機能
 レオナルド、ラファエロ、ミケランジェロ、ドナテロ。化学物質で突然変異した4人の忍者カメが、NY壊滅をもくろむ犯罪組織・フット軍団に立ち向かう! テレビアニメやゲーム、実写映画3部作などでおなじみのアメコミを、マイケル・ベイ率いる『トランスフォーマー』のチームが3D実写映画化した新シリーズだ。

 ストーリーは紋切り型で単純。真新しさはほとんどない。それでも、スリルと笑いの“緩急”がしっかりと機能しているから、最後まで飽きさせない。とりわけクライマックス。強敵の待つ決戦の地へとエレベーターで昇っていく張り詰めた緊張感の中、4人が突然ヒップホップのリズムを刻み始める場面はケッサク! こういう遊び心が、『インターステラー』のクリストファー・ノーランにあったらなぁ…と思わずにはいられない。
 さらに、マイケル・ベイ印の映画は、緩急だけでなく“重力”の使い方もうまい。白眉は『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』だが、本作にも、重力という宮崎駿も得意とする映画的アイテムを生かしたスリリングなアクションが2度登場する。1つは、雪の崖をトレーラーが滑り落ちるシーン。もう1つは、クライマックスの塔の上での決戦だ。そして、そのどちらでも笑いが絶妙の緩急となっていることは、言うまでもない。★★★☆☆(外山真也)

 【データ】
監督:ジョナサン・リーベスマン
製作:マイケル・ベイ
出演:ミーガン・フォックス、ウィル・アーネット
2月7日(土)から全国公開
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外山真也のプロフィル
 とやま・しんや 映画ライター&時々編集者。1966年愛知県出身。学生時代はヨーロッパ映画を中心に見ていたが、情報誌の仕事が長かったため、今は洋の東西を問わず、単館系からハリウッドまで幅広くが信条。主な執筆媒体:月刊TVfan、日本映画navi、ぴあ各誌。
(共同通信)

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外山真也