「島の歴史つなぎたい」高校生も決意表明 伊良部大橋開通式典


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生徒代表であいさつする伊良部高校棚原大翔君=1月31日午後、同校体育館

 【宮古島】1月31日に開通した伊良部大橋。伊良部高校体育館で開かれた県主催の開通式典では伊良部高校2年の棚原大翔君(16)が生徒代表あいさつに立った。「夢の橋が完成し、心からうれしい」と笑顔で語った。

 宮古島と伊良部島の間に横たわる幅4キロほどの海。船でしか渡れなかったその場所に伊良部大橋が着工したのは約10年前、小学2年生のころだった。「橋が架かることなど想像もできなかった」と幼少時代を振り返った。
 開通翌日の1日、宮古島であったバスケットボール部の練習試合に参加するため、初めて橋を渡った。「あらゆる人たちの苦労、思いが詰まった橋。とても宮古島が近く感じ、離島苦が改善していくと実感した」と大橋開通をかみしめた。
 住民の悲願だった大橋開通を喜ぶ一方「橋が島の自然や独自の文化を壊すようなことがあってはならない」と気を引き締める。
 伊良部島にはユークイやミャークヅツなど豊かな文化が息づく。「伊良部島民としての誇りを持ちつつ、島の歴史をつないでいくことが、先輩たちの思いを受けた私たちの役目だ」
 伊良部高校の校長室には、1997年の学園祭で当時の生徒たちが作った空き缶アートの写真が飾られている。大橋の絵とともに描かれた「早期実現」の文字。「先輩たちが想像した希望に満ちた島の未来を、島民全員で築きたい」と前を見据えた。