『図解版 上昇思考』長友佑都著


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無邪気の奥にある戦略

 いわずと知れた有名人、長友佑都が普段どのように自身のメンタルコントロールを図っているのか。気になりませんか? 私はなる。本書は彼の精神的な強さがどこに由来しているのかを説明している。なんでも2012年に発売され25万部というヒットを記録した書籍に、よりわかりやすく図解を加えて再編集をしたものだという。

 「メンタルコントロール―世界と戦う『心』のつくり方」「ポジティブシンキング―『苦境』を脱する力」「感謝の心―すべてはそこから始まる!」などといった章から構成される本書。強さ、学び、願望、感謝、ポジティブ、人は変われる、夢はかなう……心身が不調の時に読んだら熱が上がりかねない言葉が並んでいるが、そこは世界で戦う選手。どのページも緻密に解説をしており、彼がいかにメンタルコントロールを重視しているかが伝わってくる。
 なかでも印象的だったのが「第5章 コミュニケーション―理想的な人間関係の築き方」にある言葉。「僕はいま“過激なバカ”になっている」「良好なコミュニケーションを考える上での最初の一歩となるのは(略)自分から距離を縮めていく心がけを持っておくことだ。」「プライドをきっぱりと捨ててしまい、“世界共通のわかりやすいバカ”になることも大切だ。」と長友は語っている。バカになることは「生きていくための処世術」だ、とも。
 以前に長友選手がいかにインテルで愛されているかという記事をネットで見かけて驚いたことがある。チームメートからは寵愛という言葉がピッタリくるほどに、猫かわいがりされていた。ただ無邪気に笑い合っているように見えたが、彼の中ではそれも生き抜くための戦略なんだろう。サッカーで頂点を目指すための。のんびり自堕落に生きてきた半生を悔い改めたくなる一冊。でもほら、長友選手も言ってるし、人は変われるって。
 (KADOKAWA 1200円+税)=アリー・マントワネット
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アリー・マントワネットのプロフィル
 アリー・マントワネット ライターとして細々と稼働中。ファッション、アイドル、恋愛観など、女性にまつわる話題に興味あり。尊敬する人物は清水ミチコ。趣味はダイエット、特技はリバウンド。

図解版 上昇思考
図解版 上昇思考

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