会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・富田詢一琉球新報社社長)の2月定例会が12日、那覇市のホテルロイヤルオリオンで開かれた。コンサルティング会社インテカー(東京都)の齋藤ウィリアム浩幸社長が「ウィリアムの冒険」と題して講演した。
齋藤氏は「イノベーション(革新)には、失敗が重要だ」と強調しつつ、理系と文系の融合で多様性を持ったイノベーションが生まれると述べた。
齋藤氏は、日本の教育制度について「日本の大学生は、情報暗記は優れている。しかし、Why(理由)を考える力が付かなければ真の知識につながらない」と指摘した。
日本の学生の海外留学が減少していることに対して特許を例に挙げた。「(日本より)スイスやアイルランドの方が1特許当たりの価値が高いという論文が発表された。日本は最下位。スイスなどは国が小さいため、自国だけで研究できず、どうしても他国と協力しなければならない」と説明。「特許の価値は、多様性と関連する。海外に行かない学生が増えると、ネットワークができず多様性も生まれない」とした。
齋藤氏は、イノベーションの定義には、科学技術だけでなく新たにデザインも加わってきたと指摘した。アップルが開発した携帯電話iPhoneと日本のスマートフォン技術を比べ「科学技術面では、日本の方が優れている。しかしiPhoneはデザイン性で優れていた。これからのイノベーションは、日本の教育制度のように文系、理系を分けていては生まれない」とし、理系と文系の融合で多様性を持ったイノベーションが生まれるとした。
さらに「企業は、イノベーションを声高に叫ぶが、失敗はなくそうという。失敗のないイノベーションなどない。失敗をうまく反映することでイノベーションが生まれる」と語った。