第25回県工業高校生徒研究成果作品審査会(主催・県工業教育研究会)がこのほど、那覇市奥武山町の県立武道館で開催され、沖縄工業高校科学部がシュレッダーで裁断した紙を原料にバイオエタノール燃料を製造した研究で最優秀賞に輝いた。
同部は昨年度も同様の研究で最優秀賞を受賞した。同校によると、紙からのエタノール製造は全国的にも珍しい。
同部はこの研究を始めて3年目となる。昨年度は純度約85%のエタノールをガソリンに3%分加えた混合燃料を発電機や草刈り機に給油・使用することに成功した。さらに本年度は純度を約93%まで上げたため、ガソリンに15%分まで加えることができた。
地球温暖化の原因となる二酸化炭素の増加を抑制するバイオエタノール燃料は通常、サトウキビやトウモロコシなど食用植物から造られる。部員は紙の主成分である炭水化物「セルロース」に酵素を加えたり発酵させたりすることでエタノールを製造できることに着目した。本来ごみとして処分される紙くずを原料として再利用するため、実用化すると原料生産のための農地確保が不要になるなどの利点が期待される。
3年間で延べ13人の部員が研究に携わってきた。新垣賢悟君(2年)は「実用性を感じてくれる人がいることにやりがいを感じる」と話した。我那覇武君(同)は「原料の紙を砕く作業が予想以上に根気のいる作業だった」と振り返った。
宮里実咲さん(3年)は工業化学を学ぶため4月から大分大学に進学が決まっており「環境保全の分野に携わりたい」と将来を描く。大城光祐君(同)は千葉県内の化学系企業に就職する。「研究で培った根気を生かしたい」と抱負を語った。