ヤマネコ保護でシンポ 事故防止が保全の鍵 西表島


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イリオモテヤマネコ保護に向けた取り組みを提起したシンポジウム=15日、竹富町

 【西表島=竹富】国の特別天然記念物イリオモテヤマネコと生息地である竹富町西表島の自然環境の保全について考える公開シンポジウム「イリムティヌ ヤママヤー~水あふるる森のヤマネコ~」(主催・林野庁九州森林管理局沖縄森林管理署、竹富町など)が15日、同町西表島の中野わいわいホールで開かれた。登壇者らはイリオモテヤマネコ保護に向けた具体的な取り組みを提起した。

 シンポは、ことしがイリオモテヤマネコ発見から50年の節目に当たることから企画された。町民や関係者ら約50人が参加した。
 「イリオモテヤマネコの未来のために」と題し講演した琉球大学理学部の伊澤雅子教授は、イリオモテヤマネコが西表島の食物連鎖連鎖の上位にいるとした上で「イリオモテヤマネコを守ることが西表島の生物多様性を守ることにつながる」と指摘し、西表島の自然を一体的に保全する重要性を強調した。
 保護に向けた課題としては、イリオモテヤマネコが交通事故に遭う件数が「全体に右上がりに増えている」と説明し、事故から守る対策の強化を呼び掛けた。さらに観光客の増加を懸念。「自然との付き合い方を多くの人に知ってもらうことが求められている」と話した。
 琉大動物生態学研究室の中西希研究員はイリオモテヤマネコの生態について講話。自動撮影調査から「これまでいないと思われていた内陸部でも生息や繁殖の確認ができた」と研究成果を報告し「今後も調査を進め島全体の生息状況を明らかにしたい」と述べた。
 そのほか、沖縄森林管理署の職員や西表島の植物や海鳥の生態に詳しい専門家らが講話した。