【交差点】チャーター便の効用


社会
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 4月から計6便のチャーター便で800人以上の香港人観光客が沖縄を訪れた。昨年1年間の那覇空港の香港人入域客数が約1200人だから、わずか1カ月余りで3分の2をクリアしたことになる。これに1人当たり県内消費額を乗せるとおおよその経済効果は弾き出せる。こちらも数字を追いかけるのに躍起になる。
 夏場にレンタカーを使いリゾートホテルに泊まることが多い国内客と対照的に、チャーター便の団体ツアーは観光バスを利用し、那覇市内のホテルに泊まるので効率も良い。
 香港人は所得も高く、ビザなしで渡航でき、その上、レンタカーも利用できるので、いずれは個人旅行にシフトするだろう。このことからも息の長い需要、離島観光、リゾートウエディング、リピーターへの期待など国内客と何ら遜色(そんしょく)ない香港人観光客の魅力と言える。
 今回、日本向け旅行最大手のEGLツアー社がチャーター便を催行したことは大きな弾みになった。かねて「EGLが商品化すれば他社もまねをする」と聞かされていたので、これまで何度か商品造成をお願いし、チャーター運航前にも積極的に支援してきた。
 実際、3社が追随して沖縄行きの商品ができた。満塁ホームランを打ったようなもの。あとは悲願の定期便化を目指したい。さらに夏にかけて計画中のチャーター便もある。どこか歌うような抑揚豊かな声が聞こえたら、それは広東語かもしれない。
 (宮城石(つよし)・沖縄県産業振興公社香港事務所長)