『幕が上がる』 ももクロがぎゅっと詰まった青春映画


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 そうきたかっ! 最近も、米ハードロックバンドKISSとのコラボレーション・シングルを発売したももクロこと、人気アイドル「ももいろクローバーZ」。意外性と新たなファン獲得を狙った戦略はあっぱれだが、劇作家・平田オリザとのコラボとは予想だにしてなかった。

 演劇界の巨匠と組むからには本気。原作は、平田の同名小説。撮影前、ももクロメンバーは平田のワークショップに臨み、演技の基礎を学んだという。その効果はバッチリ。演劇に賭ける女子高生と、何事にも全力投球という彼女たちのキャラクターがリンクしたこともあるのだろう。カメラの前でも臆することなく、感情をバクハツ。今の彼女たちがぎゅっと詰まったキラッキラの青春映画を誕生させてしまった。
 その彼女たちの魅力を引き出したのは間違いなく、筆者のお気に入り女優・黒木華の存在だ。黒木演じる教師は学生演劇の元女王で、キラッキラした演劇部員たちに触発されて演劇魂を再燃させていく役どころだ。地味な教師が見た目だけでなく、内面から輝きを放っていくさまは美しく、演劇部員だけでなくとも憧れちゃう。
 コレ、5月には舞台版を同じももクロ×本広演出で上演するのだ。絶対、見たくなっちゃうよね。でもモノノフにチケット独占されるな。悩ましい。★★★★★(中山治美)

 【データ】
監督:本広克行
脚本:喜安浩平
出演:百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、有安杏果、佐々木彩夏
2月28日(土)から全国公開
(共同通信)
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中山治美のプロフィル
 なかやま・はるみ 映画ジャーナリスト。1969年水戸出身。スポーツ紙出身の血が騒ぎ、撮影現場やカンヌ、ベネチアなど映画祭取材に燃える。三池崇史、深作欣二、キム・キドク、アキ・カウリスマキなどひとクセのあるオヤジたちが大好き。

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中山 治美