ガラスの器、県内初出土 首里高内「中城御殿跡」


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15~16世紀のものとみられる、県内で初めて出土したガラス製の器のかけら=23日、那覇市の首里高校敷地内

 首里高校の新校舎建設に伴う同校敷地内中城御殿(うどぅん)跡発掘調査現場で1月中旬、15~16世紀のワイングラスとみられるガラス製の器のかけら二つが出土した。21日の現地説明会で公開された。

これまで県内でガラス玉が発見された例はあるが、ガラス製の器の発見は初めて。県内で発見されたガラス製品としては最古のものと考えられる。
 調査した県立埋蔵文化財センター調査班の亀島慎吾専門員は「(1875年の)中城御殿の完成以前にも、この土地に外来品を手にできるほどの身分の人がいた可能性がある。御殿完成前の土地利用の手掛かりになる」と意義を語る。
 敷地内にある約20のごみ捨て穴のうち、特に大きな一つ(約2メートル四方、深さ約2メートル)の底近くで発見した。二つとも長さ約3センチ、厚さ約3ミリで、幅はそれぞれ約2センチと約2・5センチ。緑色に黄色の模様が入っており、16世紀に南蛮貿易で栄えた大分の大名・大友氏の屋敷から見つかった南ヨーロッパ製のワイングラスと色や柄が一致している。琉球に入ってきた経路は不明。
 他にも穴からは15~16世紀の青磁(中国製)、白磁(ベトナム製)、陶器(タイ製)、土器(宮古島製)など約千点が発見されており、交易で栄えた琉球の様子を垣間見ることができる。
 琉球大学法文学部の池田栄史教授(考古学)は「当時の世界的な大交易の中で、琉球が直接交易していた東南アジアなどの地域以外の産物も十分に手に入れていた可能性がある」と指摘している。
 中城御殿は琉球王国の王世子(中城王子)が住んでいた家。県立埋蔵文化財センターが2013年8月から発掘調査を開始しており、13日に調査を終えた。