「周りに恵まれた」 車いすの新城さん、きょう卒業式


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
県立北山高校を卒業する新城宇宙さん(右)と介助員の東恩納孝仁教諭=27日、今帰仁村

 県立高校の卒業式が1日、各校で開かれる。卒業生の中には困難に向き合いながら、周りの人に支えられこの日を迎える生徒もいる。
 「もう一度、同じメンバーで高校生活を送りたい」。屈託のない笑顔で話すのは県立北山高校(今帰仁村、宮里均校長)を卒業する新城宇宙(うみ)君(18)だ。

新城君は身体に不自由があり、小学6年生のころから車いすで生活している。小さな段差でも新城君にとっては障害となるが、介助員の東恩納孝仁教諭や友達、家族に支えられ楽しく過ごした。「周りに恵まれた」と新城君は感謝する。4月からは琉球大学工学部情報工学科への進学が決まっている。
 中学生までは引っ込み思案で、学校の行事が好きではなかったという新城君を変えたのは、一冊の本だった。著者は新城君と同様、車いすの利用者だが、車いすでの生活を楽しむ様子が描かれていた。新城さんは「自分も楽しんでみよう」と決意し、積極的に行事に参加するようになった。
 教室間の移動の際には、介助員や友人に車いすを押してもらったり、階段の上り下りではおんぶをしてもらったりして、助けられてきた。新城君は「車いす生活だと『やってもらう』ことが多くて感謝しているが、それだけでは駄目だ」と話す。「『できること』で返そう」と考え、勉強を教えるなどしてきた。
 将来の夢はテレビ業界に入り、テレビを通して人の役に立つことだ。大学では映像編集の勉強をしたいと意気込んでいる。
 大学生になると1人暮らしの生活が始まる。