県内競売、過去最少369件 円滑化法や景気反映


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 東京商工リサーチ沖縄支店のまとめによると、2014年の県内の不動産競売事件数が18・9%減の369件で過去最少となった。過去10年間では06年の1583件をピークに減少してきており、14年はピーク時の4分の1以下にまで減った。同支店は「減少の背景には、09年12月施行の中小企業金融円滑化法で、中小企業の資金繰り緩和と住宅ローン者の返済負担が軽減されてきたことがある。県内景気の良さがこの数字からも見て取れる」と分析している。

 数字は、先島地方を除く那覇地裁管内の新規受付件数を東京商工リサーチ沖縄支店がまとめた。
 同支店はさらに、競売の入札公告から判明した金融円滑化法施行前後の09年と14年の件数を比較分析した。それによると、円滑化法前の09年に入札に掛けられた競売物件数は841件で、14年は72・5%減の231件だった。
 種類別では、14年の戸建住宅が09年比73・6%減の106件、マンションが72・5%減の25件、共同住宅が93・1%減の2件となり、全ての種類で減少した。
 市町村別では、14年の那覇市が09年比70・5%減の39件、名護市69・9%減の28件、うるま市64・9%減の27件、沖縄市71・0%減の20件、宜野湾市61・1%減の14件などとなった。沖縄本島南部でも、南城市が85・2%減の9件、八重瀬町97・4%減の1件、豊見城市77・8%減の8件と大幅に減少している。
 商工リサーチ沖縄支店は「銀行の不良債権も少なくなってきており、倒産件数も少ない。円滑化法終了後も金融機関は条件変更などに柔軟な姿勢で対応していることも影響している」と金融環境が下支えしている構図にも言及した。
 最近の状況については「那覇市内で土地を求めても見つからない状況。競売で出る前に任意売買されている例も多いとみられる。景気回復の動きから、競売より高値で売却できる任意売買の活発な動きも反映している。売り時と言える」と話している。